「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~「音の大研究」ほか~

2018年09月11日 | 読書コーナー

メチャ暑かった今年の夏もどうやら一段落して、このところ朝晩どころか日中まで過ごしやすくなってきたのでようやく読書意欲が湧きおこってきた。

音楽、オーディオ、そして読書と、もう忙しくてかなわん~(笑)。

今回は図書館から借りてきたうちの興味を惹かれた2冊を忘れないように記録しておこう。

☆ 「音の大研究」(PHP研究所)

   

小学生向けに書かれた本のようで別に目新しいことはなかったが、33頁に「周波数と(音の)大きさの感じ方」というのがあった。

人間の音の感じ方が「周波数と音圧レベルの相関関係」によって左右されるという内容である。「そんなことはとうの昔に知ってるよ」という方も多いだろうが改めてメモしておこう。

たとえば、上図の「緑の線」のように「周波数1000ヘルツで音圧60デシベルの音」と「250ヘルツで70ベシデルの音」はどちらも同じ線上にあるので同じ大きさの音に聴こえるそうだ。

つまり、周波数によって求める音圧が違うというわけで、この図によれば60ヘルツあたりから下がやたらに音圧を欲しがっているのがわかるし、その一方4000ヘルツ前後の音が一番音圧が小さくて済む。したがって、人間にとって(4000ヘルツ前後が)一番敏感な周波数ということを示している。

「低音域がもっと欲しいけどボリュームを上げると中高音域が出すぎてうるさくてかなわん。」にもこれで説明がつく。大きな音圧で聴けば聴くほど中高音域が歪むのだ。

逆にいえば、60ヘルツ以下にそれほど拘らなければアンプの負担は飛躍的に少なくなるのでむやみに低音域にこだわるのは考えものですよねえ(笑)。

電気回路を通じての音楽再生が一筋縄ではいかないことを改めて銘記しておかねばならないようだ。

☆ ミステリー「骨を弔う」(小学館)


「巻(かん)を措(お)く能(あた)わず」という言葉がある。

ご存知の方も多いと思うが、巻とは書物のことで「非常に面白くて一気に最後まで本を読んでしまう」という意味。

近年、図書館から大量の本を借りてくるのはいいものの、昔と違ってどうも一気呵成に読むことが困難になっている。

途中まで読みかけのまま、他の本に目移りすることが再々でやはり寄る年波には勝てず(笑)、己の集中力の欠如が一番の原因だろうと諦めていたところ、久しぶりに面白い本に出会った。

   

読みだしてみると、まさに「巻を措く能わず」で、ほんとうに面白い本ならこの歳でも「一気読みできるんだ。」と大いに自信がついた。

話の骨格はこうである。

「骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。

しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手がかりから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。

最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。」

以上のとおりだが、誰にでもある小学校時代の懐かしい思い出が実は後になっておぞましい殺人事件の片棒を担いだことが判明する。

大人になって失ったものを子供の頃の懐かしい冒険の想い出を辿りつつ「真犯人と殺人の動機」の謎解きを絡めながら「今を生きる力」に代えていく筆力はなかなかのものだった。

作者の「宇佐美まこと」さんは、はじめは男性かと思っていたが読了すると女性ということが分かった。そういえば登場人物の心理描写に女性独特のきめ細かさがあったのも道理。

読解力は別にして、これまで内外のミステリーを読んだ冊数だけは人後に落ちないことを自負しているが、その経験から言わせてもらうと僭越ながらこの作家は明らかに才能がある。今後が楽しみ~。


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