「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

タンノイさんを敬遠する理由

2015年12月17日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

「AXIOM80」愛好家による試聴会も一段と佳境に入って、いよいよタンノイ・ウェストミンスターの箱に入れた「フォリップスのユニット」の試聴に入った。

その結果を述べる前に、オリジナルのタンノイさんのユニット(HPD385:口径38センチ、同軸2ウェイ)をなぜ外したかという理由を述べておかないと「画竜点睛を欠く」というものだろう(笑)。

ジャズを聴くのならJBL、クラシックを聴くのならタンノイとおおかたの相場は決まっているが、どうして世のタンノイファンの顰蹙をかうような行為を仕出かしたのか。

元はといえば熱心なタンノイファンだった。「ⅢLZ」(オリジナル・イン・キャビ)から始まって「インパルス15」そして「ウェストミンスター」とグレードアップしてきたが、そのタンノイさんの音にいつしか就いていけないようになってしまった。今となってみると、「ⅢLZ」が一番まともな音で鳴っていたような気がする。

「いい音」と「好きな音」は違うので、あくまでも好みの違いという観点からその理由を述べてみよう。また、これは我が家の「ウェストミンスターTW」という型式に限られた話なので念のため。

まず、弦の音色がちょっと硬すぎる。もっと余韻たっぷりに、ふわっと柔らかい響きが出てくれないと困る。我が家のシステムは「弦の音色」が第一優先事項である。次に中低音域がぼんやりしていて音階がはっきりしない。ネットワークに使ってある部品(特にコイル)がイマイチのようでそのせいかもしれない。総じて全体的な「雰囲気」で聴かせようとするスピーカーだが、自分のポリシーとは相容れない。

もちろん、この雰囲気の世界が好きという方も沢山いるだろうから、それはそれで良しということになる。

まあ、そういうわけでHPD385の代わりにJBLのD130ユニットや「AXIOM80」(復刻版)など入れ替わり立ち代わり変遷してきたわけだが、どうやら現在のフィリップスのユニット(アルニコ・マグネット)に落ち着いた。

この箱にはやはりフルレンジのユニットが合っているようだ。今回の試聴会では相性テストとして3台のアンプを登場させた。

お値段の高い順からいくと、「WE300B」シングル、「刻印入り2A3」シングル、そして「71A」プッシュプル。

この中で一番評判が良かったのは何と「71A」プッシュプルだった。試聴会メンバーのKさんによると、世界中の放送局で使われているフィリップスのモニタースピーカーは、「真空管EL34のプッシュプル」で使うよう指定されているとのこと。

何だか、分かる気がする。シングルアンプとプッシュプルアンプにはどうしようもない差異がある。喩えて言えば前者は器量良しで柳腰の色白美人、後者は元気が良くて面倒見のいい姉御肌とでもいえようか。一長一短である。やや細身で中高音域に独特の音づくりがしてあるフィリップスには、弱点を補う意味でプッシュプルアンプが似合っているようだ。

試聴盤はケルテス指揮の「新世界より」だったが、オーケストラのスケール感が一番豊かだったのが決め手となった。細身の音は「AXIOM80」や「AXIOM300」で十分なんだから、そちらに任せておけばいい。

        

トランス(ピアレス)が剥き出しなので見かけが悪く「取扱注意」という解説のもと、さして期待もせぬまま競争相手なしに落札したアンプだが、結果的にたいへんな掘り出し物だった。「71A」はシングルにしてもプッシュプルにしてもハズレが少ないというのが実感。

これは余談になるが、実を言うと「WE300B」アンプがダントツの評価だったら秘かにオークションで落札しようと狙っていた真空管があった。それは英国の名門STCの「4300B」。もちろん、300Bと同タイプなので差し替えが利く。ちょうど試聴会の翌日の13日(日)が落札日だった。

            

若い頃に所有していたものの良く鳴らしきれないまま手放したのでいまだに後悔している曰くつきの真空管。

事前に関西在住の「真空管の生き字引」みたいなMさんに相談したところ「出品者は間違いのない人です。球の程度の方も初期不良の場合は返還可というのは自信の現れでしょう。落札価格は20~25万円といったところですか。ちなみに、私は持ってるので入札に参加しません。」というご返事。

ヴィンテージ管なので購入したとしてもこれから値が下がることはないし、再度オークションに出したとしても損はしないだろうが、20万円以上となるとちょっと懐が痛いなあ(笑)。

現在WE300Bは「1951年製1本」「1967年製1本」「1988年製2本」持っている。ウ~ン、どうしようかというところだったが、今後このアンプが我が家のダントツのエースになりきれないのなら潔く諦めるしかない。それほど「AXIOM80」仲間たちの耳は信頼に値する。

そういうわけで、結局見送ったわけだが注目の落札価格ははたして「256,550円」だった。Mさん、お見込み通りでしたね(笑)!

閑話休題

これで今回の試聴会はスピーカーごとの最適アンプも決まって大団円を迎えたが、
最後のテーマとして今回大活躍した「大西プリ」について述べておこう。

以下、続く。
 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする