「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「よろずのことに気をつけよ」

2014年02月21日 | 読書コーナー

一昨年(2012)の8月に福岡に行ったときに娘から買ってもらった「よろずのことに気をつけよ」だが、図書館から借りた本を読むのに忙しくてずっと読む機会がなかったが、このほどようやくおよそ1日がかりで読破した。

                         

さすがに「第57回江戸川乱歩賞受賞作」(2012年)だけあって、面白かった。これまで乱歩賞受賞作はすべてと言っていいくらい読破してきたが、本書は間違いなく自信を持ってAクラスとして推挙できるので、ミステリーファンにはぜひ一度目を通していただきたいほど。

こういう小説に「種明かし」は厳禁なので詳しいことは読んでのお楽しみだがミステリに必要な“おどろおどろしい”怪奇性、謎解きへの興味、登場人物の魅力、文章のテンポの巧みさなどが見事に備わっている。

ちなみに、乱歩賞選考委員会の中で重鎮とされる2氏のコメントを列挙しておこう。

内田 康夫氏(うちだ やすお:浅見光彦シリーズの著者)

「面白く読めた。四国地方のある地域に呪術師あるいは呪術師の集団があるというのは、研究書もあり単なる「絵空事」ではない。過度に専門知識を振り回すこともしていないので、素人の読者でもついてゆける。文章は今風で軽い筆法だが、なかなか巧み。会話のリズムもテンポよく飽きさせず、先へ先へと興味を繋いでゆく。」

今野 敏氏(こんの さとし:隠蔽捜査などの警察小説の著者、現日本推理作家協会理事長)

「今年は減点法で選り分けるのではなく、ファンを獲得できる作家であるか、という基準で作品を見ることにした。それは、つまり、私自身がファンになり得るかという観点でもある。この作品は読者を惹きつける魅力にあふれていると感じた。書きすぎず、隠しすぎずというバランス感覚が優れていると思う。」

最後に、2月8日~11日にかけての飛び石連休で帰省した娘が持って帰ってきた「このミステリーがすごい!2014年版」から昨年度のベスト10「国内編、海外編」を紹介しておこう。それぞれ上位3位までを図書館用ネットで検索してみたがいずれも貸出し中で、急いで予約したが10日ほど経ってもメールで“うんともすんとも”連絡なし(笑)。

                           

国内編(2013年)

1位 「ノックス・マシン」(法月綸太郎) 2位 「教場」(長岡弘樹) 3位 「ブラックライダー」(東山章良) 4位 「アリス殺し」(小林泰三) 5位 「死神の浮力」(伊坂幸太郎) 6位 「リバーサイド・チルドレン」(梓崎 優) 7位 「リカーシブル」(米澤穂積) 8位 「検察側の罪人」(雫井脩介) 9位「星籠の海(上・下)」(島田荘司) 10位「ロスト・ケア」(葉真中顕) 10位(同時受賞) 「祈りの幕が下りる時」

海外編(2013年)

1位 「11/22/63(上・下)」(スティーブン・キング) 2位 「遮断地区」(ミネット・ウォルターズ) 3位 「冬のフロスト(上・下)」(R.Dウィングフィールド) 4位「シスターズ・ブラザーズ」(P・デウィット) 5位 「夜に生きる」(D・ルヘイン) 6位 「ポーカー・レッスン」(J・ディーバー) 7位 「イン・ザ・ブラッド」(J・カーリー) 8位 「終わりの感覚」(J・バーンズ) 9位 「ゴーン・ガール」(G・フリン) 10位 「緑衣の女」 (A・インドリダソン)

海外編で1位に輝いた「11/22/63」の表題の意味は1963年11月22日のこと。言わずと知れたアメリカの歴史を塗り替えたと言っても過言ではない「ケネディ大統領暗殺の日」である。本書はSFの世界を駆使して「時間旅行者が過去に遡ってケネディ大統領の暗殺を阻止する」といった内容らしい。

S・キングの久々の快作で絶賛を博しているようだ。抜粋すると、

「読み終えたときの周囲の光景まで記憶に残る本が数年に1冊あるが、本書はその1冊です」

「本書はキングが約40年のキャリアで培った小説作法のありったけを駆使して“読者をとことん楽しませること”に挑戦したことの輝かしい成果です」

「とんでもなく分厚いし、値段も安くない。でもそれに見合う価値は十分すぎるほどだと断言させていただきます。長い物語だけが僕たちにもたらしてくれる感動と充実。ぜひそれを体験ください。」

というわけで、万一図書館などで本書を見かけられたときは見逃す手はないようですよ。

さて、これまでミステリーと名のつくものは手当たり次第に読んできたが、現役生活から脱け出て時間の余裕がたっぷりできたときに秘かに思ったのが「自分にもミステリーが書けないものか?」

大まかなプロットは、稀代の作曲家モーツァルトにまだこの世に知られていないオペラの楽譜が秘かに残されており、暗号を解き明かしながら発見に至るというもの。しかも、特定のオーディオ・システムでないとその音楽が聴けないという、音楽&オーディオを絡めたミステリー(笑)。

それもこれも、35歳という若さで逝ったモーツァルトがあと少しでも長生きしてくれたら、僕らは「魔笛」以上のオペラを享受できたのにという願望が成せる業である。

ああモーツァルトよ、もう一度生き返ってくれ~。
 


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