近年、CDの値段が随分下がっている。
およそ30年前にCDが登場した頃は軽く3000円(1枚)ぐらいしていた記憶があるが、今では値崩れしてしまい、どうかすると全集物では1枚当たり200円前後になっている。もちろん音楽ファンにはうれしいことには違いない。
昨日(25日)もHMVオンラインからメールがきていた。
【コリン・デイヴィス/RCA全録音集(51CD)】デイヴィスが、「RCA Red Seal」レーベルに残した全録音をCD51枚に集成したセットの登場。協奏曲、オペラも含めた内容です。
この全集のセール価格がおよそ12000円なので、1枚当たり換算では200円を切る値段となる。
ちょっと話が逸れるが、このメールを読んでいたらデイヴィス(サーの称号を持っています)は今年(2013年)の4月14日に没したとあった。彼が最晩年に指揮したオペラ「魔笛」(モーツァルト)のテレビ放映(NHK BS:2007.4.29)を録画しているが、フィナーレの大団円で子供たちがゾロゾロ登場して舞台上に沢山並んでいた。
まるで次の時代を担う子供たちに明るい未来を託すかのように思えて、何となくデイヴィスの胸中を推し量った記憶がある。何せ随分高齢だったのでこの日のあることは予期していたものの、それでも何だか淋しくなってしまった。
ところで、このように随分お安くなったCDだが、まるで時流に反するようにたった2曲入りなのに8400円もするCDがある!
近所のオーディオ仲間のYさんが我が家に23日(月)の午後、フラリとお見えになって持参されたのがこの「石川さゆり」のCD。彼女はあまり自分の趣味ではないが「津軽海峡・冬景色」などをテレビでちょくちょく聴いている程度。
このCDには「飢餓海峡」「花火」の2曲が収録されており、発売元はオーディオ愛好家にはつとに有名な「ステレオサウンド社」。
値段が値段だから、当然並みのCDとは手間のかかり方が違っていることは容易に推察できるし、さぞかし音質もいいことだろうて。何せ8400円・・(笑)。
ま、一度聴いてみる価値はあるでしょうぐらいの気持ちでワディアのCDトランスポート(270)に放り込んで聴かせてもらった。アンプは真空管WE300(モノ×2台)でスピーカーは「AXIOM80」。
いやあ、これは これは!
私たちは日頃、音質向上のためにアンプやスピーカーなどハード部分にとかく目を奪われがちだが、そんな虚しい努力(?)をまるであざ笑うかのように「さぞや生の音はかくも」と言わんばかりの音が目の前に展開した。
CD次第でこんなに音が良くなるのなら、「メーカーさん、もっと努力してくださいよ」という気になるのも当然。このCDの音の秘密をさっそくググってみると、
Stereo Sound Flat Transfer Series/スタジオマスターだけが持つ、市販のCDでは味わえない自然な生録感溢れるサウンドを、ぜひお楽しみください。
メディア:太陽誘電社製マスター専用CD-R
フォーマット:44.1kHz/16bit CD-DA
発売元:株式会社ステレオサウンド
この曲以外にも美空ひばりの「愛燦々/みだれ髪」、石川さゆり「津軽海峡・冬景色/風の盆恋歌」(現在、品切れ)が発売されていることが分かった。
美空ひばりの「愛燦々」は大好きなのでぜひ欲しい!しかし、8400円の壁が貧乏人の前に大きく立ちはだかる(笑)。
さて、注目すべきは「フォーマット」で通常のCDの44.1KHz/16bitなのにこれほどの音が出るのなら、現在流行の「ハイレゾ」なんて必要ないように思えてしまった。
また、このCD-R盤には太陽誘電社(That’s)製の「マスター専用CD-R」が使用されている。さすがである。
当方もこのマスター専用CD-Rを12枚ほど所有しているが、とっておきのCDをコピーするときだけ使用しており、ふつうのCD-Rとはまるっきり音が違うのでたいへん重宝している。
ちなみにコピー用としてパソコンの外付け用CDドライブに使っているのは「プレクスター」(信濃絹糸:生産中止)で、いつも「iTunes」を経由することなくストレートにコピーしている。
さて、この「石川さゆり」盤で聴くとグッドマンの指定エンクロージャー(以下、「オリジナル」)と自作のエンクロージャー(以下「自作)に入れた「AXIOM80」の違いがより一層、顕著に分かった。
Yさんによると「オリジナル」は箱鳴りがやや伴っていて「ふっくら」感がある、一方「自作」のほうは箱鳴りが伴わない代わりに音のエッジが鮮明に浮き出てくる、いずれも好みの問題で「甲乙つけ難し」とのこと。このCDーR盤はテスト用として使うのにはもってこいのようだ。
ところで、注目!
この石川さゆりのCD-R盤を手元のプレクスターを使ってThat’sのマスター専用CD-Rにコピー(書き込み:4倍速)した場合、劣化の程度はどのくらいなのだろう!?
これ以上は差し障りがあるので書くのを遠慮しておきましょう(笑)。