「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽談義~CDのコピー盤、国内盤、輸入盤~

2011年07月12日 | 音楽談義

先日(7月7日)、我が家に試聴に見えられた大分のEさんとOさんのお二人。

2時間半の間、いろんな曲目を聴いていただいたがそのうちの1枚が、お気に入りの「アンドラーシュ・シフ」(ピアニスト)によるベートーヴェンのピアノ・ソナタ「30番~32番」。

この演奏を1ヶ月ほど前に最初に聴いたとき32番の第二楽章のところで涙が止らなくなったが、そのときの感動を大事にしようとそれ以来、(32番は)聴いていない。

どんな名演奏でも耳に馴染んでしまうとインプレッションが希薄になってしまうのを恐れてのことで、「好きな曲ほど頻繁に聴いてはいけない」という、まことに
切ないジレンマだが折角の機会なので今回は特別。

「これがベーゼンドルファーの音色ですよ」と紹介したところ、お二人とも異口同音に「素晴らしい。スタンウェイよりも中高域の音色に艶があるようでこちらのほうが断然好みです」。

「CD番号を教えてくれませんか・・・。コピーは無理ですよね」と遠慮がちのEさん。

ここまで言われて断われるほど自分は強い人間ではない


「いいですよ、コピーしましょう。しかし、これほどの名曲・名演をコピー盤で鑑賞するとなるとこれからずっと損をすると思いますよ。コピー盤は音質がガクッと落ちます。念のため後でオリジナル盤と比較試聴してみましょうかね。」

ちなみに、コピー用の機器はパソコンの外付け専用CDドライブでは定評のある「プレクスター」で、読み取り速度は10倍速(4倍まで可能)、書き込み速度は8倍速(2倍まで可能)に設定した。

       

1枚を作成する所要時間は、およそ20分程度だからかなり念を入れてのコピー。

CDのジャケットもきちんとカラー印刷してあげた上で、コピー盤とオリジナル盤との比較試聴に入った。

なお、CDトランスポートは「ワディア270」、DAコンバーターは「ワディア27ixVer.3.0」のクロック・リンクのコンビ。今や旧式の感は否めない。

始めにオリジナル盤、次にコピー盤の順番で曲目は30番の第一楽章。

「こりゃあ全然ダメだ。艶のない音質でまったく聴けない」とOさん。Eさんも「やっぱりなあ~」と嘆息。「そうでしょう」と我が意を得たりの自分。一方的にオリジナル盤に軍配が上がった。

それでも(各自の)装置によりけりかもしれないと、Eさんは(コピー盤を)大切に持って帰られたが、3日後の10日の日曜日に電話がかかってきた。

「CD店に行って検索してもらったけど、輸入盤なのでCDのジャケットに書いてある番号では読み取り不能でねえ。悪いけどネットで注文してくれませんか。Oさんも是非欲しいそうなので2枚お願いします。」

70歳以上の方ともなるとパソコンをされないのも無理はない。

「ハイ、いいですよ。CDが到着したら試聴がてら届けてあげます」。

こういうときは「アマゾン」よりも「HMV」のほうが早いだろうと、ネットでチェックしたところすぐに発見、さらに同じ画面の下には何とシフによるモーツァルトの「ピアノ・ソナタ全集」があるではないか。

この愛してやまないモーツァルトの名品をベーゼンドルファーの音色で聴けるなんてと小躍りしたのは言うまでもない。

喜び勇んで「買い物カート」に一緒に入れた。


すぐにHMVからメールが入ってきて出荷目安はおよそ2週間後の7月23日。

ところで、Eさんからのお電話のついでに「あれからちょっと音像定位がおかしかったので、アキシオム80が入ったSPボックスをウーファー4発の上に載せてSPユニットを縦一列に配しましたよ」と言ったところ「それは良かった。縦一列の配置にするのは基本中の基本ですよ」。

「エッ、それが分かっているのならあのときの試聴中にあっさりアドバイスしてくれたらよかったのに」と思ったが、すぐに「やはり無理だよね~」と思い直した。


マニアにとってオーディオ(=音質)は人格にも匹敵するほどの大切な存在、それを滅多にない”よそ様のお宅”での試聴のときにあからさまに欠点を本人の面前で指摘するにはよほどの勇気がいる。勇気というか厚かましさというか・・。

自分だって他人の装置を聴かせてもらったときに「ここがおかしいので、こうしたら」なんて口が裂けても絶対言わない。まあ、マナーみたいなものだと心得ている。ただし、日頃から親密で気心が知れていて、よほどの間柄なら別の話。


たしかオーディオ評論家の加銅鉄平さんの著書だったと思うが、「よその家で聴かせてもらって音が良くないと言うのは、あなたの子供はバカですねと言うのと同じだ」と書いてあるのをずっと昔に見た記憶がある。

まあ、常識的にはそういうことだろうが、実はこの「遠慮」が永遠に真実を知る機会から遠ざけられた「裸の王様」を増やしている一因ともなっている。

複雑怪奇なオーディオの世界を一人で立ち向かうには、よほどの人は別にしてやはり限界があるように思う。

基本的には自己満足の世界だからあれこれ他人の意見に右顧左眄(うこさべん)する必要はないのだが、まっとうにオーディオを極めようとするのなら遠慮会釈なく欠点をズバズバ指摘してくれる友人を持つこともひとつの得策。

しかし、言われ様によっては随分と腹が立ってムシャクシャするのもたしかなところだが・・・。

おっと、今回の話題はCD盤の音質だった。

次は国内盤と輸入盤について。

10年以上も前に購入したCBSソニーのバッハの「フランス組曲」(国内盤:グレン・グールド演奏)だが、どうも音質がよろしくない。明らかに縮こまったような印象を受けてまともに聴く気にならない。

          

マスター録音に問題があると思い、ずっと放ったらかしにしていたのだが、半年ほど前に奈良県のMさんからお借りした「イギリス組曲」(輸入盤)を聴くと明らかに音質に月とスッポンみたいな差がある。

そこでもしやと思い、アマゾンで輸入盤を注文したところ3ヶ月ほど経ってからもう忘れた頃の3日ほど前にやっと到着。1枚が1、000円未満の廉価盤(2枚組)だったが音質は断然こちらのほうがいい。

         

念のためオーディオ仲間の湯布院のAさんにも聴いていただいたところ、「明らかに違います。同じ演奏なのに輸入盤のほうが圧倒的に音響空間が広く聴こえます」と太鼓判。

CDソフトのミキシング加工がこうもデタラメではどんなにシステムのほうを改良したってまったく無意味。CDソフト業界(特にソニー)はまるでどうかしていると痛感。

これからCDを購入するなら輸入盤だと改めて肝に銘じたが、CDでさえこんな調子だからレコード盤になるともう「
推して知るべし」なのだろう。

近年の天井知らずの(輸入盤の)高値にマニアの悲鳴が聞こえてくる~。



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