「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「蘇った真空管アンプ」~

2011年07月28日 | オーディオ談義

「オーディオ」というと、真っ先に思い浮かぶのは何だろうか。

人によって、スピーカー(SP)だったり、アンプだったり、あるいはレコード・プレーヤーだったりするかもしれない。

まあ、音質に決定的な影響を与えるという観点からすると「SP」と「アンプ」に指を屈するのは間違いなし。

あるオーディオ雑誌に、人間にたとえるとするならスピーカーは顔や姿にあたり、それに精神を吹き込むのがアンプとあったがどうだろうか。

「当たらずといえども遠からず」といったところかな。

端的に言えば、双方に気を配って「両雄並び立たせる」のがオーディオというわけだが、オーディオマニアを大別するとおよそスピーカー派とアンプ派に大別されるような気がする。

これまでのお付き合いさせてもらった方々のうち、本格派と目される方は全てSP派である。

湯布院のAさん、杵築のMさんしかり。

自分の場合、別に意識することはなかったが結果的に見るとどうやらアンプ派に区分されるようだ。

とにかく、質のよさそうな好みのアンプを見ると、つい手が出てしまう。

つまり、惚れっぽくて飽きやすいタイプ!(相手が人間でなくてよかったあ~。)

とうとう溜まり溜まって現在の手持ちは真空管アンプが5台(全てパワーアンプ)、トランジスターアンプが6台(全て同一機種でスペアを含む)という盛況。

ただし、真空管アンプについてはつい先日のブログにも書いたとおり、いずれも「帯に短し、たすきに長し」。

エース不在というのが悩みの種、どのアンプにしても何かしら欠点を持っている。

出力菅が良くても、出力トランスが良くない。両者とも良くても、今度は「回路」が悪いといった調子。

真空管アンプは有名な出力管だけにこだわるのではなくて、総合力で性能が問われなければならないと、ようやく分かってきたのが近年なのだからまったく情けない限り。

また、100万円以上の完全無欠なアンプを思い切ってドカンと購入すればそれで済むものを、度胸が無いため〔もちろんお金も無い!)中途半端なアンプに終始してしまった。

現在、所持している真空管アンプは全て三極管のシングルで出力管ごとに挙げるとPX25が2台、WE300B(モノ×2台)、2A3、VV52B。

さて、おそらく自分だけかもしれないが、オーディオにも「当たり年」と「そうでない年」があるように思う。

自分自身、意外とゲンをかつぐタイプなのを自覚しているが、今年は完全な「当たり年」。

「ウーファー4発」への挑戦、「真空管式チャンデバ導入」の大当たりなど次から次にホームラン。

麻雀と同じでツキまくっているときに勝負に出るのが
勝ち続けるコツでタイミングを逃すと簡単に運が戻ってこない。

そこで、この際これら5台のアンプの再編成にチャレンジすることにした。


その第一弾が「VV52B」という真空管を使ったアンプの改修。

初段管「ECC82」,第二次増幅管「(ML4」,出力菅「VV52B」、出力トランスは「テクトロン」というラインアップ。

この出力管は三極管には珍しく出力が軽く15ワット以上も出るという代物で15年以上も前に、とある「ペンション」を営む工房から購入したもの。

     

音質自体には不満は無かったものの、写真中央の電源トランスが時間の経過とともに手がつけられないほど熱くなるのには閉口した。

冬なら絶対、暖房器具になると思うほどで、夏はもう部屋中が暑くなってしまうのでこの時期はまず倉庫で眠ってもらっている。

何とかこの電源トランスを熱くならないように出来ないものかというのが15年来の悩み。しかも近年左チャンネルから”ジー”という継続的な雑音が絶えない。

経年劣化もあるし、ツキにも恵まれているしでいよいよ修理の到来である。

メル友でこれまでバッファーアンプの改造をしてもらった奈良県のMさんに厚かましく相談を持ち込んだところ、「労多くして功少なし」、おそらく気乗り薄だったと思料されるがボランティア精神で何とか引き受けていただくことになったのが6月下旬。

修理の内容をメールで詳しくやりとりしながら、無事修理が完了して戻ってきたのが7月23日(土)。およそ1ヶ月間、みっちり面倒をみてもらった。

その内容だが、初段管のソケットが腐食して黒ずんでボロボロだったそうで金メッキの新品のソケットに交換。取り付け場所も音声信号の入り口とセットで改造。

         

次に、肝心の音質対策はリップル除去とデカップリングの作用が共用されていたのでB電源の分割とスプラーグ(コンデンサー)の追加で対応。

また、電源トランスの熱対策は抵抗とヒートシンクの追加で解決。

なお、このアンプは極めて重量級でくれぐれも「腰を痛めないように」と申し上げておいたが、やはりあまりの重さに閉口されたようで、結局左右出力トランスの2個をアンプから外され、奥様と二人掛かりで一階から二階に運ばれた由。

奥様までご迷惑をおかけしてまったく申し訳なし。

実はこのアンプを送付するときも、とても一人では持ち上げきれないので、とうとう割高〔100円!)になったがヤマトさんに連絡して自宅に直接来てもらったほど。

さあ、いよいよ楽しさと緊張が入り混じる試聴のときがやってきた。23日(土)の16時前後のこと。

現用のウェスタン300B(モノ×2台)を外して電源、音声、SPコードの接続を無事完了。

いつもの事ながら心臓の鼓動が早まる。

はじめにボリュームを小さめにして低域用アンプとのゲインの差を確認しながらチャンデバ付属のアッテネーターで調整し、頃合を見てていよいよ本格的な音出し。

いやあ、何という澄んだ響きなんだろう。しかもウェスタン300Bのときにみられた線の細さが無し!

(通常ウェスタンの300Bはそういうことは無いのだが、我が家に限っては回路とか出力トランス(タムラ)のせいもあってちょっと”おとなしすぎる”のだ。)

一気に5台のアンプの中でエースに躍り出た感じだが、一方では名三極管にみられるビロードの光沢のようなあの独特の艶は感じられない。それを近代管に求めるのは酷というものだろう。

なお2時間程連続して試聴しても電源トランスが「人肌の温もり」になっているのには大いに感激した。

これで15年来の悩みが見事に解消。

これから奈良県の方向には足を向けて寝られない。

ただし、この一連の「好事」はまだまだ簡単に終わらせるわけにはいかない。

(誰だっ、「好事魔多し」なんて言うのは!)

実は、第二弾として別のアンプ(PX25)の「ウルトラC」級の秘策がもう一つ待っている。

それは蓋を開けてのお楽しみ・・・。
 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする