お彼岸の中日も過ぎ、街なかに秋の色がつきはじめた。
子どものころは近くのお寺の森や畑が遊び場であったが、そのなかで真っ赤なヒガンバナには良い印象はなかった。
今は、各地のヒガンバナの群生が観光地となっている。
それにしても不思議な花だ。
花が咲き、おしべ・めしべが髪の毛のように伸びる。蝶もとまる。しかし種子はできない。細胞が三倍体のためだ。さらに葉と花が出会わない。
どうして広がっていったのか。
各地に広げていったのは、人である。
花の美しさと妖しさの魅力によって。
テンプテーションという心理的影響を人に与えるものがあるのではないか。
そのため半村良氏の「楽園伝説」を思い出す。
企業小説、ハードボイルド?的な流れがあり、最後に衝撃的な結末に。アガルタ伝説のひとつだ。
半村氏は、SFや伝奇小説など幅広い作品を残している。
私の年代では、山口百恵「曼殊沙華」の歌も思い出す。
これは情熱の歌だ。今の時代に聞いてもすごいと思う。
お彼岸は7日間。仏教でいう六波羅蜜(ろくはらみつ)の六つの修行を一つひとつ行い、中日で6つまとめて行うから7日間だと本で読んだことがある。お経は「音写」と「意訳」が混ざっているため、漢字では理解しにくい。またそれが良いのだという人もいる。
六波羅蜜の修行のなかに持戒波羅蜜があり、その五戒に「不妄語戒」がある。ウソをついてはいけないという戒めである。
自民党の総裁選。
六波羅蜜とは無縁の世界ではないか。
安倍前首相のモリ・カケ、桜を見る会など、ウソとごまかし、公文書の改ざんなど、手も触れようとしない総裁選候補。仏教の修業とは対極の位置にあるとしかみえない。
新型コロナ感染や格差と貧困の拡大など、国民の苦しみそっちのけの権力争い。
自公政権を丸ごと取りかえるしかない。
ヒガンバナの花言葉は情熱だ。
それをもって衆議院選挙をがんばりたい。