昨日、近所の川に、見慣れぬ魚を放している男女があった。
外国の熱帯魚だろうか。ならば即死してしまいそうだが。
二人は魚を放ったあと、少し離れたまま、無言で川の流れを見つめていた。
人それぞれ様々な事情があるのだろう。
そして、誰もが優しいこころを持ち合わせているだろう。
飼えなくなって、もらい手なく、殺すのも忍びなく、
分かっていながら放流したその川は、三途の川であり、
二人が選んだその魚の墓場だった。
この因果によって二人に困難の起こらぬことを願う。
そして、二人の罪悪感が他者へのやさしさへ昇華し、
無限の愛の連鎖が、この世界を覆うように、心より祈る。
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