要旨
今回、バラエティ番組、プレゼンテーション、国会答弁におけるオノマトペの出現頻度について調査した。理由として、オノマトペの出現頻度は私的な場面では高くなり、逆に公的な場では低くなると考えたからだ。バラエティ番組を私的な場面、国会答弁を公的な場面と想定し、プレゼンテーションをその中間と置くことで、公私の場とオノマトペの相関性を見出す目的で本稿を制作した。
なお、調査の際、語数は国立国語研究所が規定する「短い単位」に従った。
先行研究ではオノマトペの出現頻度は、やはり、フォーマルな形式になればなるほどオノマトペの出現頻度およびその種類は減少すると結論付けられていた。本調査の結果、オノマトペの語数は1000語に換算すると、バラエティ番組は6.90語/1000語(66語/9564語)、プレゼンテーションは3.73語/1000語(28語/7508語)、国会答弁は3.64語/1000語(30語/8224語)であった(カッコ内の数字は換算前の数字)。この結果から、オノマトペの出現頻度はフォーマルな場面になるにつれて低くなっていることがわかる。筆者はプレゼンテーションを公私の中間と想定したが、今回のオノマトペの語数は国会答弁と近似値を示していたため、プレゼンテーションはフォーマルな場面に入るかもしれない。
また、各レベルにおけるオノマトペの総語数と異なり語数を調べた所、バラエティ番組が総語数66語・異なり語数35語、プレゼンテーションが28語・17語、国会答弁が30語・4語であった。異なり語数の割合にすると、順に53.0%、60.7%、13.3%となり、プレゼンテーションが一番高い結果となった。この結果から、公的な場面では同じオノマトペが使用される傾向にあり、そのため、オノマトペの種類が少なくなるのではないかと考えられる。
今後の課題としては、オノマトペの使用頻度は個人差が出やすいので、今回の調査が正確なものであるか疑問であるという事である。この調査により説得力を持たせるにはより多くの資料に当たる必要がある。また、今回は話し言葉を調査対象として扱ったが、書きことばと話しことばによってもオノマトペの使用頻度は違うかもしれない。そのため、また違った角度からオノマトペ調査をする必要があると考えられる。