呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気オヤジの、観る!~「少年H」&「終戦のエンペラー」

2013-08-17 | 映画(DVD)の話

68回目の終戦の日、別にそれを特別意識したわけではないが、やっぱりこの時期にこの作品は観ておこうと思い、2日続けて映画観賞。2つともとても良い作品でした。☆4つのお薦めです!


◎少年H



グラフィックデザイナー、舞台美術家の妹尾河童氏の自伝小説の映画化。
本名「はじめ」の頭文字「H」を編みこんだセーターを着ていたため、友人たちからHの愛称で呼ばれていた小学生の主人公。神戸で、洋服仕立て業を営むクリスチャンの両親と、慎ましやかだが毎日幸せに過ごしていた。しかし世の中では、日中戦争が始まり、いつ日米で開戦するか分からないという不穏な空気が漂う。
やがて開戦、Hも中学生となり、軍事教練に明け暮れる。父親も洋服の仕立てを止め、消防団で慣れない訓練の毎日。Hはおかしいことをおかしいと言えない体制に疑問を感じつつも、家族と共に世間の狂気の激流に翻弄される…。

平和な現在では考えられない、想像もできないようなある意味狂気の世界だったと思う。多くの国民が、間違ったところに向かって突っ走っていることに気づかない。
誰もおかしい、違うと言わない、言えない世界。軍事施設だけでなく、平気で一般市民の上に爆弾を降らせ、焼き尽くす米軍。それでも尚、日本の勝利を疑わず、破滅の道を走り続ける軍人たち。
そんな異常な世界がわずか68年前にあったことを、僕たちは忘れてはならない。いろいろな形で我が国の辿った道を後世に伝えるべきだ。若い世代も興味を持って学んで欲しい。
ウチの次男はまさにノンポリの今風若者だが、高校の修学旅行で沖縄に行き、ひめゆりの塔を見て、結構考えるところ、思うところがあったらしい。やっぱりそういう経験が必要で、大人がうまくリードしてやらなくてはならないんだろう。
ちょっと堅苦しい話になったけれど、この映画を観て、思わずそんなことを考えてしまった一日でありました。



◎終戦のエンペラー



史実に基づいたノンフィクション的ドラマ。
終戦後日本を占領した連合国軍最高司令官のマッカーサー元帥は、大戦における天皇の責任について、部下で知日家のフェラーズ准将に調査を命じる。米国政府は、天皇の責任は重大で戦犯として処刑すべしとの意見が大勢だったが、マッカーサーは日本を混乱なく統治し復活させるためには、天皇の責任を不問とし国民をまとめていくほうが得策と判断した。
フェラーズ准将に与えられた時間は10日間。フェラーズは天皇の側近や政府関係者に証言を求めるが、天皇責任回避の確証はなかなか得られない…。
こういう動きがあったことは結構知られていることだが、終戦直後の日本軍や政府要人、連合国の思惑などが分かって興味深かった。



全国の主要都市が無差別に空襲に遭い、何万人もの一般市民が命を落とした。終戦の玉音放送を阻止しようと、狂信的な陸軍の部隊が皇居を攻撃し、終戦の前日に日本人同士で殺しあった…。戦争って一体なんなんだろう。この2つの映画を観て、虚しさが胸に広がった。
また「少年H」で描かれる庶民の苦悩、そしてs「終戦おエンペラー」で描かれる国の中枢にいる者たちの苦悩。どちらも軽重はない。
まさに終戦の週に観る映画として、とてもタイムリーかつ興味深い2作でありました。皆さんもぜひご覧下さい。





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