♪とても不思議な体験のコンサートだった・・・
神奈川県民ホール主催の「戦争レクイエム」(ベンジャミン・ブリテン作曲)を聴いた。
とても不思議な感覚のコンサートだった。
ブリテン(1913-76)は20世紀を代表するイギリスの作曲家だ。
この曲は、空襲で焼け落ちた聖ミカエル大聖堂の復活披露のために作曲された。
62年の発表だから、完全なる現代曲と言える。
この曲の合唱練習に2回ほど参加した。
合唱団にとっては難曲中の難曲だ。
変拍子と不協和音の嵐で、合唱の各パートが更に3部に分かれたりする。
こりゃぁ大変だと思っているうちに、仕事が忙しくなって休団となってしまった。
ちょっとでも参加した曲だから、本番を聴くのを楽しみにしていた。
開演ギリギリに到着したものだから、合唱団の入場が始まっていた。
なんとも凄いステージだ。いつもの県民ホールの倍はある感じだ。
合唱団の最前列が通常のオケの一番前、指揮者が立つあたりだ。
小田原少年少女合唱団を含め合唱がほぼ400名、特設ステージにオケが100名だ!
上手奥に、小アンサンブルのオケが構え、テナーとバリトンのソロがその前。
ソプラノソロはというと・・・、それは後のお楽しみ!
ステージの天井にはスクリーンが吊ってある。
不気味な鐘の音と弦の重苦しいユニゾンで曲は始まる。
やがてこれまた緊張感を持った合唱が「REQUIEM AETERNAM」を囁く・・・。
スクリーンには、CGの炎の輪とロンドン(?)市街の航空写真、兵士の姿が
これでもかというように映し出される。
オケの中ほどにテナーとバリトンが立ち上がり、小オケの伴奏で詠いだす。
オーウェンの現代詩が元となっており、1曲目は「呪われた青春に捧ぐ賛歌」
お、重い・・・。
ソプラノのソロはどこにいるんだ?と思っていたら、なんとはるか頭上で歌い始めた。
舞台下手側の客席上の壁面の照明用(?)の窓から歌っていた!
うぅ~ん、映像も相俟って演奏会というより、一つの芝居を見ているような感じだ。
モーツァルトやヴェルディなどの古典的レクイエムと全く違って
神の安息の祝福などは、微塵も感じられない曲だけど
強烈な戦争批判が込められたメッセージは、ぐっと体の中に突き刺さってきた。
このコンサートは県民ホール主催なので、現田さんの選曲ではないのだろうが
図らずも、マエストロは今年3つの「レクイエム」を神奈フィルと演奏した訳だ。
ヴェルディ、ブラームス、そしてブリテン。
なんか最初は「レクイエム(鎮魂歌)続きで、辛気臭いなぁ」と思っていたが
通して聴いてみると(ヴェルディは歌ったよ)意味のあるつながりのような気がする。
最後の締めがブリテンというのも頷けるね。
改めて非戦の誓いに思いを馳せる気分になるコンサートで、とても満足した。
神奈フィルの皆さんも、合唱団のメンバーもお疲れ様でした。
めったに聴けない、めったに歌えない演目で、貴重な体験でしたよ。
ありがとう!
PS)
コンサート終了後、YurikamomeさんとChisatoさんと、ご一緒させていただいた。
相変わらずYurikamomeさんのクラシックの知識は素晴らしい。
父さんのクラシック好きは、所詮ミーハーのお遊びのようなもの。
これからもいろいろ教えてくださいね、またご一緒しましょう!
関内の焼き鳥、美味しかったですよ!!