ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.1.30 不正は許さない!~トラッシュ!この街が輝く日まで~

2015-01-30 19:43:30 | 映画
 夫と2人で標題の映画を観た。
 ブラジルが舞台で、少年たちが活躍する映画・・・ということ以上のことは知らずに映画館に出かけたのだが、大当たりだった。
 スラム街が舞台ということで、かつて観た「スラムドック・ミリオネラ」のようなファンタジーをイメージしていたのだけれど、実際は手に汗握るスリルとサスペンス。
 2時間弱、時間を忘れて思いっきりドキドキハラハラさせられたけれど、観終わった後は、希望のあるラストシーンに心地よい疲れで、満足感一杯!という1本だった。

 舞台はブラジル・リオデジャネイロ郊外。ゴミ山で金目の物を探し、その日その日を精一杯生きる少年たちは皆14歳。我が日本では“魔の14歳”とか、“中2病”とか言われる難しいお年頃だけれど、映画の中の彼らの生活は実に過酷だ。自分たちでは選ぶことの出来ない生まれた国や環境により、子どもたちの運命は本当に雲泥の差なのだ、と唸らされる。私だったらとても生きていけないだろう、自然淘汰だな、と下を向く。

 ある日主人公ラファエルが、ゴミ山の中からひとつの財布を拾う。記憶力抜群の相棒ガルドと下水管で暮らすラットの3人は、財布に隠された重大な秘密を明らかにしようとするのだが、その所為で命を狙われることに。半殺しの目に遭いながらもその良心に従い、真実を明かそうとする少年たちに、汚職にまみれた警察の容赦ない追跡の手が伸びる。その背景には、迫りくるブラジルオリンピックにまつわる不正の影が透けて見える。
 いってみれば少年たちが拾った財布は世界の“希望”が詰まったものなのだろう。ガルドの言葉を借りれば“貧乏人はゴミ同然の扱いを受ける”という絶望の街で見つけたこの“小さな希望”を頼りに、街全体に輝く奇跡を起せるのかというストーリーなのである。

 スクリーンで躍動する圧倒的な生命力に溢れた3人の少年を演じたのは、オーディションで選ばれた無名の少年たちだという。ごくごく自然な演技で、観る私たちを魅了する。
 肉親からも世間からも見放された子どもたちを優しく導きたいと願いながら、立ちはだかる現実との葛藤の中にあるアメリカ人神父、母親のように彼らを見守る若き女性オリビア。豪華なキャストが脇を固めており、その人間味溢れる存在感で物語に深みを持たせている。

 クライマックスの暗号解きシーンにもドキドキハラハラのしっぱなしだったが、物語のキーとなる6月17日に丸がついたカレンダーに、自分の誕生日を見つけて、ちょっとびっくり。これには夫も「6月17日だったね~」と気づいたようで、なんとなく+αのオマケを頂いた気分。

 さて、2020年、5年後に迫った東京オリンピック。その頃まで命が繋げているかどうかは神のみぞ知る、であるが、巨額のお金が動くのは必至だろう。こんな不正や収賄が行われるのは映画の上だけであることを切に望みたい。

 今日は息子の誕生日。彼が生まれて初めて一人で迎える誕生日だ。10代最後の年、19歳になった。昨年の今頃はまさか翌年の誕生日に彼が自宅にいないなどとはゆめゆめ思っていなかった。あっという間の巣立ち、そして1年だ。
 今日は予報通り朝から雪。「誕生日おめでとう」のLINEを送ったついでにベランダからの雪景色の写真を送ったところ、「気をつけて」と返ってきた。今日で学年末試験等も終わり、部活とバイトを終えて来週末に帰省するようだ。
 経済的な心配をしなくてよい学生生活を送ることが出来ることに感謝し、“不正は許さない”という気概を持って映画の少年たちのように逞しく生きていってくれたら、と思う。

コメント
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