生き生き箕面通信

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2361 ・「安保法案が違憲かどうかは、最高裁が判断する」という安倍内閣の大ウソ

2015-06-11 09:01:16 | 政治

おはようございます。
生き生き箕面通信2361(150611)をお届けします。

・「安保法案が違憲かどうかは、最高裁が判断する」という安倍内閣の大ウソ

 こんな屁理屈で国民をだまそうなんて、「ふてぇ野郎だぜ」と思わされました。安倍政権が持ち出した論法のことです。憲法学者がそろって「安保法案は違憲」と断じたことに反論する安倍政権の論法のことです。

 政権側はもっぱら菅官房長官が先頭に立って、安保法制違憲論の反論にやっきになっています。まず最初は、菅氏が「安保法制を合憲とする学者はいくらでもいる」と記者会見で述べました。ところが昨日6月10日の国会で、辻元清美委員に「では、具体的にどなたが合憲と言っているのか挙げて下さい」と突っ込まれると、ようやく2人ほど挙げたものの、結局、「数ではないと思っている」と、逃げました。逃げる時の遁辞が、「合憲か違憲かは、最高裁が決めるのだ。(憲法学者じゃない)」でした。そして、その根拠に持ち出したのが、1959年の最高裁の砂川判決でした。

 しかし、この砂川判決こそが、最高裁が憲法判断を放棄することにした決定的な悪判決だったではないですか。それを、国民が知らないとでも見くびってか、最高裁が判断すると大ウソをこいたのでした。

 砂川判決は、ご承知のように米軍の砂川基地反対闘争の中で出されたものです。東京地裁が画期的な「違憲判決」を出したのに対し、危機感を持ったアメリカの駐日大使が時の外務大臣に強(こわ)談判し、最高裁へ跳躍上告させて、「合憲判決」を出させた一件です。このとき、最高裁の田中耕太郎長官は、「高度な政治的問題は最高裁の判決になじまない」と、最高裁が憲法判断を停止する前例を示したのでした。それ以来、今日まで、「高度な問題」は最高裁ですべてひっくり返されて、時の政権のやることが合法化されるようになっています。

 最高裁が、憲法判断を停止するなら、本当に違憲か合憲化かは、誰がするというのでしょう。最高裁は自ら「法の番人」たる役割を放棄し、時の政権がやりたいようにできる道を開いたのです。

 本日のメディアの社説で見ると、読売新聞は例によって政権の広報紙よろしく、「(政府の一連の反論は)妥当な内容である」と、世論を誘導するものでした。さらに、「自民党の高村正彦副総裁が『憲法学者の言うことを無批判にうのみにする政治家』を批判しているのは、理解できる」と、持ち上げても見せました。

 読売の社説の結びは、中国脅威論をあおり、「抑止力を高めるのは当然だ。国会でも、そうした観点の論議を展開してほしい」と、戦争法案の成立へ向けて尻を叩く内容でした。

 他方、朝日新聞の社説は、「『違憲』法制 また砂川とは驚きだ」を見出しにしました。安倍政権が反論として主張した内容は、「牽強付会」と、上品に批判しました。

 砂川判決に関しては、「争点は憲法9条のもと在日米軍の駐留が認められるかどうかであり、最高裁は違憲との一審判決を破棄し、日米安保条約のような高度に政治的な問題に裁判所の審査はなじまないとの判断を示しただけだ」と、政府側の主張は筋違いと明確に論破しました。

 「最高裁はまさに砂川判決がそうであったように、『高度な政治的な問題』への判断は避けてきた」と、最高裁は憲法判断から逃げる前例に重ねて言及しました。

 朝日社説が頭の部分で「牽強付会」と評した牽強付会とは、「自分に都合のいいように強引に理屈をこじつけること」ですよね。しかし、安倍政権がやっていることは牽強付会との表現では生ぬるく、国民をなめきった「大ウソ」と断じるべきでした。