おはようございます。
生き生き箕面通信2367(150617)をお届けします。
・日本の「報道の自由度」が急速に劣悪化しつつあります
毎年発表される「報道の自由度ランキング」で、一時は11位と結構いいところまで行っていたのですが、今年は61位と急転落しました。その最大の原因は、安倍政権によるメディア支配があります。
週刊ポストの6月19日号が「国境なき記者団」のまとめとして報じたところによると、「民主党政権下の2010年には180か国中11位だったが、自民党政権に戻ると、2013年は53位、14年が59位、そして今年は韓国の60位より悪い61位。このランキングは、フランス・パリに本部を置く国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」が2002年から毎年発表しているものです。調査開始時、日本は180か国中26位でした。
安倍政権は政権運営の要(かなめ)としてメディア支配に力を入れています。大手メディアの社長クラス、あるいは論説委員長クラスと、会食するなどで手なづける形になっています。欧米では信じられない権力とのラブラブ関係です。
情けないのは、メディア側が嬉々として酒席にはべり、安倍首相の独演会にお追従している姿です。このような宴会関係があれば、政権に対して厳しい批判をあびせることなど自制します。
だから、日本の「報道の自由度悪化」には、外側からの支配と同時に内部からのおもねりが重なっているのです。
世論形成に大きな影響力を持つとされるNHKには、政権の意向をもろに反映させるため、籾井勝人という柄の悪い人間を会長として送り込むという荒業を強行しました。いま、籾井旋風がNHK内を吹き荒れています。安保法制に反対する大衆行動などは意識的に無視して報じません。先日は安保法制を審議する委員会の中継をサボりました。政権側に都合の悪い内容が予想される時は、できるだけ国民に知らせないようにするのです。
民放テレビは、電通という広告業界を牛耳る化け物を通じて、特区の昔にアンダーコントロールです。
また、日本の報道の自由度が低くランクされる根本的な問題のひとつは、日本独自の極めて閉鎖的な「記者クラブ」制度です。表向きは自由な取材が保障されている建前ですが、実態は記者クラブ加盟社以外には排他的です。つまり、日本の加盟社だけに特典があり、このおいしい汁を吸える制度を容易に手放せないのです。
記者クラブ所属記者は優先的に取材のアポが取れるだけでなく、記者クラブの部屋代も取材先の官庁や業界団体持ちが普通です。その他様々なメリットがあり、勢い取材先とは「持ちつ持たれつ」の癒着関係になります。先に触れたように、日本ではメディアのトップが首相と会食することも珍しくなく、上が上なら下も下なのです。
記者クラブ制度の弊害については長年指摘され、民主党政権になった当初は、開かれた記者クラブという改革が進められようとしたこともありましたが、自民党に代わってからはすっかり元にもどってしまいました。
さらに大きな問題は、一昨年2013年に特定秘密保護法というとんでもない法律が制定されたことです。ただでさえ隠ぺい体質の日本の権力組織は、法律という強力な後ろ盾を得て堂々と隠ぺいできるようになったのです。その壁を乗り越えて取材しようとすると、有罪に処せられます。「報道の自由」が著しく制限されているのが、日本の実態です。
政権側は、世論を操作するにはメディアを支配することが要諦と承知しています。官邸にはメディアの動向を厳しくチェックするチームが日々、活発に機能しています。世耕弘成・内閣官房副長官を中心とする「チーム世耕」です。安倍官邸には、飯島薫という海坊主のような面相の男も、メディアに目を光らせています。
「一回のウソはばれやすいが、百回のウソは真実になる」というヒトラー流の世論操縦策が幅をきかせています。こうしたメディア状況を承知の上で、私たちはアンテナを高く張り、ウサギの耳で情報をキャッチし、何がたくらまれているか、自分で判断することが必須です。さもなければ、権力者に振り回される人生になってしまいます。