カルテ番号 つ・9(14)
院長は少し間をおいてから話し出した。
「病という一つの現象だけ抜き出せば、生命にとって間違いともいえるでしょう。
でも、それは時間を短く限った場合のみです。
一つの病を体験することにより、その後の健康に気を配り、人生をまっとうできる事は多々あります。
一病息災という言葉で表していますね。
この場合、その病は間違いではなく、教えであり、救いだったのです」
津山雅仁はハッと思い当たった。
自分は病を治すことばかり考えていた。
いや、治す自分を多くの人に認めてもらう事に意識がいっていた。
確かに病が軽くなる、あるいは回復すると感謝される。
だが、それにより、その後の人生がどうなるか、なんて考えもしなかった。
乱暴や殺人まで犯すような人を単純に治してしまう危険性。
その人が回復して、更に泣く人を増やしてしまう可能性。
治す、というのは、もっと深い目でみなくてはならなかったのだ。
そんな表情を読み取ったのか、院長は少し微笑んだ。
「ようは、病であろうが健康であろうが、活かせばいいわけです。
回復だけにこだわる必要もありません。
余計な力が抜ければ、その後の出来事も結構上手くいきやすいのです。
そもそも、治しても治さなくても、通常、100年もすれば死にます」
なんだか、アッサリしているな。
これほどの能力は嘗ての自分以上だろう。
それなのに治療院が流行っていないのも理解できる、と津山は納得した。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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