「風間陽水の依頼簿（カルテ）・796」

カルテ番号　め・3（44）

礼子は知った。そして、気づいた。
ここに来た、もう一つの目的。
どん底の闇から１０年間。
太極拳という方法で明るい世界の扉を開いた。
そして、見てもらえる自信がついたので、ここに来た。
１つの階段を上った自覚があった。
そして、１０年前からの目標の院長に出会い、見てもらえた。

だが、そこから先、どうしたらいいのかが不明だった。
目標を達成してしまったのだ。
そこから先の目標が見えなかった。
もちろん、太極拳は一生続けるつもりだった。
過去の１０年間を褒めてもらえたのは嬉しい。
とても、嬉しい。
でも、人生は、この先に続くのだ。

最初は何の為に、院長が大周天を教えるのか、分からなかった。
これから先の道標。
道は幾つもある。
どの道も面白そうだ。
その歩き方を教えてくれたのだ。
大周天という、歩き方。

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）

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