「風間陽水の依頼簿（カルテ）・680」

カルテ番号　み・5（35）

それは信じられない。
楽しい事や嬉しい事が多いほど、幸せだと思う。
院長は少し考えながら話しを続けた。
「生きていると、いろいろな事が起こります。
それは願った事も、決して出会いたくない事も起こります。
その都度、感情が沸き起こります。
嬉しさ、悔しさ、寂しさ、楽しさ、悲しさ・・・
いろいろな感情が起こってしまいます。
感情は一瞬に沸き起こるので、コントロールは出来ません。
ただし、訓練で表面を抑える事は出来ます。
他人からみれば、コントロールしているようにみえます。
また、行動も冷静に行うことも出来ます」

それはわかる。
会社、社会で生きるには、感情を表に出してはいられない。
仕事は感情でするものではない。
例え、腹の中が煮えくり返ろうとも、行動は冷静にしてきたつもりだ。
「心の中で、一番影響力があるのが感情です。
その感情は無くすことができません。
勝手に出てしまうのです。
問題は、感情の種類ではなく、溜めるか流すか、なのです。
別な言い方ですと、こだわるか、こだわらないか、なのです」

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）

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