カルテ番号 み・5（16）
その人は無責任だと思う。
その無責任を彼女は何で信じたのか、解らない。
そんな裕子の顔を見て
「変な人でしょ。
でも、その人、治療家なのよ。
医療気功の治療家なのよ。
だから、理解できなくても、そのまま受け入れられた。
ううん、上手く説明できないけど、きっと大丈夫だと思えた」
気功の治療家？
ますます怪しい？
裕子は気になっている事を訊いた。
「そのメール相談は料金が幾らだったのかしら？」
「無料よ」
そう言って彼女は笑った。
「私は、そんな内容でも払うと言ったのだけど・・・
その先生は、結果が出て、払いたくなったら連絡しなさいと」
どうやら詐欺ではないようだ。
それに、今の彼女を見ると、結果は回復したのだろう。
裕子には理解できない内容だった。
でも、気になった。
「では、どうやって太極拳を覚えたのですか？
教えてくれなかったのでしょう？」
彼女はますます笑った。
「そうなのよねぇ。
今になってみると、とても愉快な事だったわ」
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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