大晦日の31日は大忙しい一日だった。年賀状も、鏡餅も、おせち料理の準備も全て一通り終わると、一年の汚れを落とすためにお風呂に入り、家族の団欒の中で年越しそばを食べ、除夜の鐘の音を聴き、新しい年が明けると体を清めるためにまたお風呂に入り、新しく揃えた下着に着替え、着物を着て、新年の挨拶を交わし、お屠蘇を頂き、お雑煮とおせち料理を食べ、家族で新年の抱負を述べ合い、神社に参り、破魔矢と絵馬を買って、絵馬にみんなで願いの言葉を書く。こんな一連の流れが僕の両親の文化としてあったように思う。僕は、父が炊いてくれた五右衛門風呂に入り、新しい下着に着替え、母が作ってくれたおせち料理を頂くのがとても嬉しかった。文化を継承するには、とても面倒な事が多いが、子供たちの記憶には、とても暖かい思い出として残る大切な財産だ。