北大ボートblog

北大ボート部部員によるほぼ定期更新ブログ。

トップCOXについて、艇の感覚の言語化を試みる

2023-07-17 21:50:49 | 日記

北大ボート部をご覧の皆様
お世話になっております、現在新トレをしている船山です。

去年は対校COXと主務をしておりました。


さて、今シーズンも折り返しといったところでしょうか。東北戦が終わり、現役の選手たちはいよいよインカレへと舵を切り始めたところのようです。

舵といえば、今年は新しく1人、高校時代に漕手をしていた永井がCOXとして活躍してくれています。
2年目の倉内、3年目対校COXの納谷と、女性COX3名が北大ボート部を支えてくれております。

今回のブログは、そんなCOXについて自分なりの感覚を言語化できたらと思い立ち書き始めました。
特に、後輩COXたちの経験が少なく、オールを見れないことから難易度の高いように感じるトップCOXについて触れていきたいと思います。


<ラダーリング>
大前提として、トップCOXに求められることはラダーリングです。スタンCOXと少し要領が異なるため、最初はまっすぐ進むのに苦戦するかもしれません。しかし、スタンCOXよりも前方が鮮明に見えているため個人的にはまっすぐ進めやすいと思っています。
レート、艇速の管理、安全管理など、スタンCOXと変わらず行える仕事を、まずはスタンCOXの時と変わらずできるようになることがスタートラインだと思います。

<艇の動きを感じる>
トップCOXでは、艇の前方にシートがあり、スタンCOXと違いブレードワークがほとんど見えないです(横向けば2番くらいまでなら見えなくもないが、あまり参考にはならないしバランスを崩す原因になりうる)。よって、漕手へ的確な指示を出すには「艇の動きを感じる」ことが大切となってきます。
この、「艇の動きを感じる」というのが、非常に習得に時間がかかり、言語化しづらいため後輩に指導することが難しいポイントとなっています…

筆者本人も感覚に自信は無いのですが、船体の動きというのは、想像以上に様々な情報を教えてくれるようです。
トップCOXにもたらされる情報としては
・艇の加減速
・横揺れ(ローリング)

船体の動揺について
・縦揺れ(ピッチング)

船体の動揺について
・左右揺れ(ヨーイング)

船体の動揺について

・上下動(ヒービング)

船体の動揺について

・左右動(スウェイング)

船体の動揺について

・前後動(サージング)

船体の動揺について

明和海運株式会社 船体の動揺についてより引用

明和海運株式会社 | » 船体の動揺について (meiwakaiun.com)

 

船の揺れは、大別しても6種類あるんですね。左右動なんかは横風が強くない限り、あまり起こらない揺れなきがしますが

 

ここからは、rowingの動作ごとに分けて、頑張って言語化してその感覚を伝えてみようと思います。

 

<キャッチ→ドライブ→フィニッシュ>
キャッチは最も艇の加速する瞬間であり、COXには大きな加速がかかります。COXにはほぼ衝撃となって伝わるため、漕手一人ごとのキャッチを艇の動きから分析することは難しいと思います。というか筆者はできない、できる偉大なCOXはいらっしゃるかもしれません。

キャッチで漕手ごとに詳しく見ることは非常に難しいので、クルーで揃っているかどうか、全体のキャッチの善し悪しを判断できるようになるといいと思います。

キャッチが揃い、うまく決まった時などは「グッ」と、うまくブレードが水中に固定された感覚があります。そして、そこからドライブにかけても「押し続けている」感覚を確かに感じることができ、フィニッシュまで伸びていきます。車で走行中に、アクセルを一気に踏み込んで急加速した時のような感覚?なのかな。
キャッチがずれたり、あまりうまく決まらなかったりすると、キャッチの衝撃だけ大きくて、その後のドライブは「するする~」と行くような感じがあります。なんというか、力がすべて推進力にならずに逃げちゃっているような、言語化しずらい感覚を感じます。

少し慣れるとストペアと2番,バウの力のかかり方の違いが何となく分かるようになる(整調と3番の区別は無理でした)ので、筆者はそこからドライブが揃っているかどうかを見ていました。恥ずかしい話、自分が何の情報から判断しているのかわからないので何とも言えないのですが、わずかな縦揺れ(ピッチング)と左右揺れ(ヨーイング), 加速感から判断しているような気がします。

ハイレートなどではレートが上がり、キャッチの衝撃が大きくなることから艇の動きが全然わからなくなります。筆者は全体のキャッチの固定感、全体のドライブの加速感を基本的に見ていますが、GPSの情報を含めて総合的に判断してます。
ハイレートでは、乗り始めたころは艇の動きが全く分からないので、①艇速が十分に上がらない、②レートが上がり切らない、などのGPSの情報から予測してみるのがいいと思います。普段の乗艇の様子や動画などから事前に傾向を把握して、自分の持っている情報から現状を予想することが非常に大切となると思います。

 

<ハンズ→セット>
COXに大きな衝撃がかからないフレーズへと入ってきました。ここまでは主に「加速」を見ていたわけですが、ここからは「減速」が主なポイントとなってきます。
究極的に言えば、一切の減速が無いことが理想なわけですが、漕手の体重が移動するため意外と多くの動きがあります。

・セット
話の順序的に、ハンズよりもセットに関して最初に書きたいと思います。
セットといいますが、トップCOXから感じることのできる動きとしては、おそらく上下動(ヒービング)or縦揺れ(ピッチング)と、わずかな減速だと思います。セットでは漕手の重心が明確に移動するため、4人の動きが揃っていると極小の上下動として艇の動きに現れ、4人の動きがずれてしまうと極小の縦揺れ,わずかな減速となって表れるのではないかと思っています。ほぼ同じに感じるかもしれませんが、ずれていると筆者は若干の気持ち悪さを感じます。また、縦揺れの感覚の違いから4人のうち誰がずれているのか(整調を基準に見るため、1,2,3番の誰)を感じます。やはり、艇の重心から遠い人がずれるほど揺れが大きくなるような感覚(感覚的な話なので、確証はないです)があるので、そのわずかな違いから判断できるかもしれません。

ここの感覚については、「完璧に揃ったハンズセット」を一度経験することで大きく感覚が研ぎ澄まされた経験が有るため、漕手がCOXに成功例を見せてあげることが最も上達に近い方法だと思います。水上でモーターボートの伴走が可能なら、モーターからコーチの指導を受けて、良い場合を教えてもらえたりするとなおいいでしょう。
セットの感覚が分かるようになれば、レース中などでも瞬時に的確なコールができるようになると思います。筆者はレース中のコールがあまり上手でないためあまり良いことは言えませんが、漕ぎがずれはじめる大本はハンズセットな気がするので、ここがずれた瞬間にコールでカバーできればロスを減らせるのかなと思います。

・ハンズ
ハンズの出し始め、筆者は正直に言ってほとんど何も感じません。体重移動がほとんど起こらないため「揺れ」が起きにくく、またフィニッシュの直後なためにノイズも大きいです。よって、「ハンズの後の動きからハンズの動きを予測する」ことが必要になります。めっちゃむずいね。

ハンズに限った話ではないですが、1つの動作は必ずその後の動作に影響を及ぼします。rowingは反復運動なため、すべての動作がその後へと影響を及ぼし続けているわけです。そのため、筆者の場合、ハンズが揃っているかどうかは「セット(体重移動)の起こり始めが揃っているか」と「漕手の癖」で見ていました。漕手の癖は乗艇前に把握しておくと良いですね(誰がどのようにずれやすいのか)。
セットの起こり始めがずれていた場合、ハンズの動作が遅いのか、出し始めが遅いのかなどを予想する必要がありますが、それも漕手の癖から予想できるのが良いです。ちなみに、筆者は何となくハンズの出し始めがずれていた気がする…というような「感」で判断してました。言語化はいつかできたらいいな。

 

<シートスライド>
スタンCOXでもシートスライドは割と感じていた人が多いのではないでしょうか
シートラッシュしている場合は、わかりやすく艇が大きく減速します。ググっと大きく減速するので、かなり判断は容易だと思います。

 

最後に、フィニッシュからフォワード全体にかけてのポイントですが、キャッチで大きく加速している場合、その分減速しているポイントがあると考えるといいかもしれません。
トップCOXからは判断の難しいフィニッシュからフォワードにかけての動きですが、比較的動きを感じやすいキャッチなどから善し悪しを予測できます。減速の無い艇は、その分加速も無いということになります。

 

今回はCOXについて、考えをまとめながら、なるべく言語化できるように書いてみました。思い付きでパパっと書いているので、後輩から要望などがあればまた詳細に、時間をかけて書くかもしれません。
個人差など大きくある分野だと思うので、北大の、1人のコックスはこのように考えていたんだな~という程度に読んでもらえると幸いです。

コメント (1)

トップスカラーとしての決意

2023-07-17 06:27:48 | 大会

お久しぶりです。3年目漕手井上です。

 先日行われたTTの結果を基にクルーが組まれました。僕の結果は思ったより伸びなかったという感じですが、やり切ったと思います。

 僕が乗る艇種はクォドです。メンバーは四年目吉田、久我さんになります。もう一人は今週中に決まり、3年目か4年目になります。全くフレッシュ感はありませんが、その分インカレにかける気持ちや努力が強いと思います。

 さて、クォドは北大としてはセカンドという位置づけになるようです。

 ここで一つ言っておきたいのですが、僕は北大のトップスカラーです。付きフォアのメンバーは多少エルゴが回るかもしれませんが、水上とエルゴでは全然違うということは皆さんご存じだと思います。また、吉田さん、久我さんは体重の割にかなりエルゴが回ります。付きフォアとクォドはパワーのある人とスカルがうまい人で分かれているように感じます。個人的にはまだセカンドと呼ぶには早すぎると思います。

インカレA決勝に行って実力を見せつけてやろうと思います。

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