語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【杉山章象】『わたしは鍵師』

2016年08月26日 | ノンフィクション

 古い倉庫を始末し、新しく設置した際、古い倉庫から出てきた本の一。

 鍵師は、鍵を作り、あるいは他人が作った鍵を解く。地味といえば地味のきわみ、人間ではなくモノが相手の仕事だが、地味に徹し、モノに徹すると、人間的なドラマが向こうからやってくる。
 たとえば、奥さんには見せたくないものを金庫の奥深くしまったのはよいが、開けるに開けられなくなって鍵師を呼ぶはめになった悲劇。依頼を首尾よく果たしたのはよいが、体で支払います、と持ちかけられて、ほうほうのていで逃げだした喜劇。
 一芸に徹すると、じつに意外な世界が広がる。

□杉山章象『わたしは鍵師』(中公文庫、1988)
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