(1)TPPは、実質的な日米自由貿易協定(FTA)だ。
TPPが成立すれば、輸入品の関税は限りなくゼロになり、米国産の牛肉、大豆、トウモロコシ、小麦など、あらゆる食品が今よりずっと安く、日本市場にどかっと大量流入する。
(2)すでに米国は日本にとって最大の農産物輸入相手国だ。金額ベースで全農産物の23.1%(1兆4,000億円)超の莫大な量を依存している。
(a)トウモロコシ・・・・645万トン(輸入量の5割、シェア1位)。
(b)大豆・・166万トン(輸入量の6割、シェア1位)。
(c)小麦・・・・323万トン(輸入量の5割、シェア1位)。
日本人が日ごろ食べている豆腐、醤油、味噌なども米国産の大豆、小麦を使用している可能性が非常に高い。
TPPによって、米国依存にますます拍車がかかるだろう。
(3)食品が検疫で摘発される違反事例は、米国産がもっとも多くて、中国産よりも多い(昨年度)。
(a)米国産のトウモロコシ、大豆、アーモンド、ピスタチオ等で、発癌性のある猛毒アフラトキシンが大量に検出されている。
(b)米国産のトウモロコシの違反重量(86,000トン、2012年度)だけに限っても、中国産冷凍食品(野菜)の違反重量(255トン、2012年度)をはるかにしのぐ。
(c)2012年度には、農薬マラチオン【注】が米国産生鮮ブルーベリーから検出された。マラチオンは米国では大量に使用される。
(d)2001年には、農民連食品分析センターによる検査で、学校用給食のパンから有機リン酸系の殺虫剤、マラチオンやフェニトロチオン、クロルピリホスメスチルといった農薬が検出されたこともある。原料は米国産小麦と目される。
【注】2013年12月29日、マルハニチロホールディングス子会社のアクリフーズ群馬工場(群馬県大泉町)で製造した冷凍食品からマラチオン(農薬)が検出されたことが発表され、製品の回収と群馬県による立ち入り調査、警察による捜査が行われた。
(4)現状もで(3)のような問題がある米国産食品がTPPで大量流入してきたら、「日本の食卓」はどう変わるか。米国とFTAを締結した他の国の例を見るのがわかりやすい。
メキシコは1994年発効の北米自由貿易協定(NAFTA)以降、米国から安価な食品が大量流入するようになった。メキシコは破壊された。
メキシコはかつて自給率100%だったが、今は60%にまで落ちた。「いずれ20%程度になるだろう」(国連担当官)。
NAFTA以降、米国はメキシコの生産原価より19%もダンピングした遺伝子組み換え(GM)トウモロコシを輸出し、メキシコでは300万人の農民が失業した。たった一つの条約が、これほどの破滅的状況をもたらしたのだ。
(5)だが、本当に破壊したのはメキシコの子どもの健康だった。現在、メキシコの子どもの肥満率は世界1位だ。メキシコでは1,900万人が飢餓状態にあるにも拘わらず。
この逆説的な現象が起きたのは、米国から不健康な食品が流入して食生活が激変したからだ。最近では、大人も肥満率が世界一になった。糖尿病など成人病が増えたため、医療費が国家財政を圧迫している。
米国がメキシコに売り込んだ大量のGMトウモロコシは、中性脂肪を増加させる(動物実験)。
トウモロコシが主食のメキシコに蔓延する成人病は、米国産GMトウモロコシが一因、という指摘がある。
(6)危険なのは、牛肉もそうだ。子どもたちの健康に影響を与えることが最も懸念される食品だが、日本側が譲歩する可能性が高い。
日本が輸入する牛肉は53.5万トン。うち35%(18.6万トン)を米国から輸入する。その多くは外食産業や加工食品に流れる。
米国産牛肉は、今年2月のランチョ・フィーディング社(カルフォルニア州)の400万kgの牛肉のように、「病気や不健全な動物を処理し(中略)、不純物が混じっている」と米食品安全検査局が回収を命じられることがある。
米国産牛肉は、ホルモンや抗生物質の過剰投与も危険因子だ。2012年、米国産牛肉から国産牛の600倍ものエストロゲン(女性ホルモン)が検出された。エストロゲンは牛を短期間で肥育させ、利益をあげるために投与される。子どもがホルモン過剰牛肉を食べ続ければ、思春期に成長が止まるだけでなく、将来癌(乳癌・子宮体癌・卵巣癌・前立腺癌・大腸癌など)にかかる危険性が非常に高い。
事実、日本人のホルモン依存性癌の増加曲線は、米国産牛肉の消費曲線とピッタリ重なっている。
米国産牛肉は、ハンバーガーなどを通して子どもたちに消費される。だが、日本では輸入時に残留ホルモンの検査すら行っていない。
□奥野修司+本誌取材班「米国産「危険食品」で子供が壊れる TPP成立で大量流入&規制撤廃」(「週刊文春」2014年4月17日号)
↓クリック、プリーズ。↓
TPPが成立すれば、輸入品の関税は限りなくゼロになり、米国産の牛肉、大豆、トウモロコシ、小麦など、あらゆる食品が今よりずっと安く、日本市場にどかっと大量流入する。
(2)すでに米国は日本にとって最大の農産物輸入相手国だ。金額ベースで全農産物の23.1%(1兆4,000億円)超の莫大な量を依存している。
(a)トウモロコシ・・・・645万トン(輸入量の5割、シェア1位)。
(b)大豆・・166万トン(輸入量の6割、シェア1位)。
(c)小麦・・・・323万トン(輸入量の5割、シェア1位)。
日本人が日ごろ食べている豆腐、醤油、味噌なども米国産の大豆、小麦を使用している可能性が非常に高い。
TPPによって、米国依存にますます拍車がかかるだろう。
(3)食品が検疫で摘発される違反事例は、米国産がもっとも多くて、中国産よりも多い(昨年度)。
(a)米国産のトウモロコシ、大豆、アーモンド、ピスタチオ等で、発癌性のある猛毒アフラトキシンが大量に検出されている。
(b)米国産のトウモロコシの違反重量(86,000トン、2012年度)だけに限っても、中国産冷凍食品(野菜)の違反重量(255トン、2012年度)をはるかにしのぐ。
(c)2012年度には、農薬マラチオン【注】が米国産生鮮ブルーベリーから検出された。マラチオンは米国では大量に使用される。
(d)2001年には、農民連食品分析センターによる検査で、学校用給食のパンから有機リン酸系の殺虫剤、マラチオンやフェニトロチオン、クロルピリホスメスチルといった農薬が検出されたこともある。原料は米国産小麦と目される。
【注】2013年12月29日、マルハニチロホールディングス子会社のアクリフーズ群馬工場(群馬県大泉町)で製造した冷凍食品からマラチオン(農薬)が検出されたことが発表され、製品の回収と群馬県による立ち入り調査、警察による捜査が行われた。
(4)現状もで(3)のような問題がある米国産食品がTPPで大量流入してきたら、「日本の食卓」はどう変わるか。米国とFTAを締結した他の国の例を見るのがわかりやすい。
メキシコは1994年発効の北米自由貿易協定(NAFTA)以降、米国から安価な食品が大量流入するようになった。メキシコは破壊された。
メキシコはかつて自給率100%だったが、今は60%にまで落ちた。「いずれ20%程度になるだろう」(国連担当官)。
NAFTA以降、米国はメキシコの生産原価より19%もダンピングした遺伝子組み換え(GM)トウモロコシを輸出し、メキシコでは300万人の農民が失業した。たった一つの条約が、これほどの破滅的状況をもたらしたのだ。
(5)だが、本当に破壊したのはメキシコの子どもの健康だった。現在、メキシコの子どもの肥満率は世界1位だ。メキシコでは1,900万人が飢餓状態にあるにも拘わらず。
この逆説的な現象が起きたのは、米国から不健康な食品が流入して食生活が激変したからだ。最近では、大人も肥満率が世界一になった。糖尿病など成人病が増えたため、医療費が国家財政を圧迫している。
米国がメキシコに売り込んだ大量のGMトウモロコシは、中性脂肪を増加させる(動物実験)。
トウモロコシが主食のメキシコに蔓延する成人病は、米国産GMトウモロコシが一因、という指摘がある。
(6)危険なのは、牛肉もそうだ。子どもたちの健康に影響を与えることが最も懸念される食品だが、日本側が譲歩する可能性が高い。
日本が輸入する牛肉は53.5万トン。うち35%(18.6万トン)を米国から輸入する。その多くは外食産業や加工食品に流れる。
米国産牛肉は、今年2月のランチョ・フィーディング社(カルフォルニア州)の400万kgの牛肉のように、「病気や不健全な動物を処理し(中略)、不純物が混じっている」と米食品安全検査局が回収を命じられることがある。
米国産牛肉は、ホルモンや抗生物質の過剰投与も危険因子だ。2012年、米国産牛肉から国産牛の600倍ものエストロゲン(女性ホルモン)が検出された。エストロゲンは牛を短期間で肥育させ、利益をあげるために投与される。子どもがホルモン過剰牛肉を食べ続ければ、思春期に成長が止まるだけでなく、将来癌(乳癌・子宮体癌・卵巣癌・前立腺癌・大腸癌など)にかかる危険性が非常に高い。
事実、日本人のホルモン依存性癌の増加曲線は、米国産牛肉の消費曲線とピッタリ重なっている。
米国産牛肉は、ハンバーガーなどを通して子どもたちに消費される。だが、日本では輸入時に残留ホルモンの検査すら行っていない。
□奥野修司+本誌取材班「米国産「危険食品」で子供が壊れる TPP成立で大量流入&規制撤廃」(「週刊文春」2014年4月17日号)
↓クリック、プリーズ。↓