語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【米国】いまも続く「進化論対創造説」論争

2014年04月29日 | 社会
 (1)米国では、長らく、人類の起源をめぐって進化論対創造説の論争が繰り広げられてきた。
 現在、進化論は公立学校で教えられている。憲法修正第1条の観点から、創造説を教えるのは違憲だ。

 (2)だが、進化論が浸透してきたとはいえ、保守州では反進化論を学校教育に持ち込もうとする動きがまだ見られる。
  (a)ミズーリ州・・・・1月、リック・ブラティン・州下院議員は、「進化論の授業は生徒の宗教的信念を侵害する」という理由で新法案を提出した。下院での審議予定は立っていないが、3月中旬、小中学校教育下院委員会を通過した。同法案は、「学校は進化論授業の予定を保護者に通知する義務があり、保護者は子どもに授業を欠席させてもよい」というものだ。
  (b)ルイジアナ州・・・・3月初め、ダン・クレイトー上院議員は、同州の「進化論・創造説」法破棄を提唱した。上院で審議されたが、24日、反対多数で否決された。問題の州法は、「公立校の科学の授業で、進化論同様創造説も教えるべき」というもので、1981年に可決された。しかし、1987年に創造説教育に連邦最高裁判所が違憲判断を下し、同法は施行されなかった。

 (3)(2)-(b)について、施行されない違憲州法を残すことには何の意味もないように見えるが、その背後に州民の進化論拒否の姿勢が浮かんでくる。
 米調査機関ビュー研究所が昨年12月に発表した世論調査によれば、米市民で進化論を信じているのは3割にすぎない。

 (4)旧約聖書の記述を歴史的事実と捉え、地球の歳は6,000年であり、人類と恐竜とは共存すると信じる人々も多い。
 ローレネ・ヨーダ(中学1年生、オハイオ州)もその一人で、2月中旬、ホワイトハウスの嘆願サイトに「創造説も公立学校で教えられることを望む」嘆願を立てた。嘆願書でローレネいわく、「創造説が宗教と考えられるならば、無神論者の信念である進化論も宗教だ」。

□Sueko Mclane(在米ジャーナリスト)「いまも続く「進化論対創造説」論争 公教育で創造説教えろとの動きも」(「週刊金曜日」2014年4月11日号)
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