第28回「名刀の主」はこちら。
せっかく御家人が13人そろったというのに、どんどん減っていきます(笑)。もちろんそれは、単なる数合わせだったこともあるし、高齢な人物がいたこともある。ということで代替わりが微妙な話で……
頼朝(大泉洋)から頼家(金子大地)への代替わりは、無能なのではなく方向性を間違えている二代目という、よくある展開になっている。
おそらく三谷幸喜がこのドラマで手応えを感じたのは、暗殺者である善児(なんと皮肉な名前だ)の人気が爆発したことだろう。梶原善という盟友が、こんな形でブレイクするのは、“成功した大河”ではよくあることだからだ。
「太閤記」における高橋幸治、「黄金の日日」の根津甚八、川谷拓三。そして自身の「新選組!」での堺雅人とか。
その善児にも二代目が。そうかこうやって彼はフェイドアウトしていくんだなあ……とはきっと誰も思っていない。
朝日新聞を読んでいるアドバンテージを利用させてもらえば、今回はある人物(三谷が書いたすべての大河に出演している!)が井戸に落ちる。彼を助けるのが頼家と義時(小栗旬)と、そして全成(新納慎也)な展開は三谷幸喜が誇っている。わたしもびっくりしました。
その全成がこれからどうなるのかの予言も同時になされている。
頼家を呪い殺せとマクベス夫人(宮沢りえ)に依頼された全成は、その証拠をすべて回収する。でもたったひとつ、という展開は王道だ。
映画「ディア・ハンター」で、婚儀でワインをすべて飲み干すことができればその花嫁は幸福になれる、というエピソードで、一滴だけ純白の花嫁衣装に赤い染みができるあたりの。あるいは、大河「八重の桜」における芦名星の悲劇(彼女の石だけが鳥居の上に届かない)にもつながるだろう。ああ、彼女は本当に不幸な結末に至ってしまったのだった。
あ、それから前にも言いましたが女の人はそんなにキノコが好きではありません。
第30回「全成の確率」につづく。この回はすごい。
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