その54「地の底のヤマ」はこちら。
噂の「64」は、同僚が貸してくれることになっているので先にこちらを再読。「このミス」の宝島社から出た「この警察小説がすごい!」で堂々の第一位。ちなみに二位は「百舌の叫ぶ夜」。この結果には納得。いずれも大傑作ですのでお見逃しなく。
ひところ、月刊横山秀夫かと思うくらい上梓がつづいた横山は、しかし身体をこわして長いブランクを強いられたのだとか。
その刊行ラッシュの時代、すべてが傑作だったわけではもちろんない。あざとい造りが身上の作家なので、あまりにも作為が見え見えの場合は(「看守眼」など)いくらなんでもこれはないだろ、と。
しかし「第三の時効」は、その作為がむしろ気持ちいい。横山ワールドでなければ成立しない密室、アリバイトリック。嫉妬や憎悪などの感情が密室をつくるのね。そうなの、まるで本格ミステリなんですよ警察小説というよりも。しかも刑事たちと記者のせめぎ合いはさすがの描写。
なにより、その本格を背負って立つ名探偵三人(捜査班長たち)が、いずれも性格的に問題があるあたりがいいですわね。まさしく、ベストワン。さて、「64」はまだかな。
ということで「64(ロクヨン)」につづく。
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第三の時効 (集英社文庫) 価格:¥ 660(税込) 発売日:2006-03-17 |
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