事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察~その55「第三の時効」 横山秀夫著 集英社文庫

2013-01-02 | 日本の警察

Img_543418_16454289_0 その54「地の底のヤマ」はこちら

噂の「64」は、同僚が貸してくれることになっているので先にこちらを再読。「このミス」の宝島社から出た「この警察小説がすごい!」で堂々の第一位。ちなみに二位は「百舌の叫ぶ夜」。この結果には納得。いずれも大傑作ですのでお見逃しなく。

ひところ、月刊横山秀夫かと思うくらい上梓がつづいた横山は、しかし身体をこわして長いブランクを強いられたのだとか。

その刊行ラッシュの時代、すべてが傑作だったわけではもちろんない。あざとい造りが身上の作家なので、あまりにも作為が見え見えの場合は(「看守眼」など)いくらなんでもこれはないだろ、と。

しかし「第三の時効」は、その作為がむしろ気持ちいい。横山ワールドでなければ成立しない密室、アリバイトリック。嫉妬や憎悪などの感情が密室をつくるのね。そうなの、まるで本格ミステリなんですよ警察小説というよりも。しかも刑事たちと記者のせめぎ合いはさすがの描写。

なにより、その本格を背負って立つ名探偵三人(捜査班長たち)が、いずれも性格的に問題があるあたりがいいですわね。まさしく、ベストワン。さて、「64」はまだかな。

ということで「64(ロクヨン)」につづく

第三の時効 (集英社文庫) 第三の時効 (集英社文庫)
価格:¥ 660(税込)
発売日:2006-03-17
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今月の名言2012年12月号~皇... | トップ | 「プライベート・ライアン」 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本の警察」カテゴリの最新記事