……(その1はこちら)さて、山居倉庫の見学路を順路とは逆に川沿いをすすむと柵がもうけてあり、またしても警備員がいて立入禁止になっている。奥の方には菅笠をかぶったエキストラの姿が。
「あれ、撮影ですか?」
「そうです」今度の警備員はあっさりと答える。二十代前半だろうか。ごつい身体。
「有名な役者とか来てるんですかね」
「いやーそんな感じじゃなかったなあ」
「役所広司とか」
「来てないんじゃないかなー」
目の前にはパイプを組んでつくった櫓があり、いかにも映画のスタッフ風のお姉ちゃん(ジャンパー姿、軽い身のこなし、派手な顔)がなぜか水を入れたバケツを持ってよじのぼっていく。
「あの人も、スタッフですか」
「ですね。さっきほら、雨が降ったでしょう。だから撮影の人たちは倉庫のなかに入って休憩してたんですよ」
「へーえ。で、撮影は今日だけなんですか?」
「うーん契約は一応きょうの夜7時半までってことになっているんですけど」
「なるほどねぇ。じゃあ、がんばってください」
「はい。ども」
でもまだわたしはもの足りない。そうだ市民会館の方ならもっと見えるかもしれない。新井田川沿いをクルマで行くと、おーっと前号でお伝えしたトラックの群れ。野次馬も歩道に並んでいる。これは参加せねば。急いで市役所に駐車し、川岸に向かう。
やってました。メインはこっちだったのだ。
木造船が着岸するか離岸する場面なのだろう。チョンマゲを結ったキャストが舟の上にいて、カメラがそれをねらっている。もうすっかり雪が溶けたはずなのに前日にトラック6台分の雪を運んだとかで(出入りの印刷業者に教えてもらった)、向こう岸には大量の雪が残っている。物量作戦なのはさすがアメリカ映画というべきか。
「すいませーん!何度も言うようですけどこっち側に立たないでくださーい!」
やっぱり業界人っぽいスタッフが野次馬整理。仕方がない。帰ろうか、勤務中だし(^o^)。
さて、わたしがどうしてこの撮影にご執心かというと、「アメリカ映画の撮影現場に居合わせる」なんて経験は一生できないに違いないのはもちろんだが、実は息子がエキストラに応募していたからである(笑)。その結果……
(その3につづく)
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