事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ロードサイド・クロス」 ジェフリー・ディーヴァー著 文藝春秋

2010-11-26 | ミステリ

Roadsidecrossesimg01 ディーヴァーだし文春だし、いつものようにかなり高額な本なんだけれども(2500円)、これだけ読者を楽しませる作家はそうはいないので気合いで購入。

やれやれ、いつもどおりのディーヴァーであり、いつも以上にディーヴァーでした。主人公はリンカーン・ライムのシリーズにゲストとして登場し、のちにシリーズ化された(最初から計算ずくだったんですって)人間のボディ・ランゲージからその内心を読み解く人間嘘発見器キャサリン・ダンス。

前作「スリーピング・ドール」でも、彼女のテクニック(ディーヴァーのテクニックでもある)にはおそれいったが、今回も炸裂している。

事件の発端はブログ。正義を希求する目的で個人が運営するサイトに、しかしネット社会ではおなじみの無神経な書きこみがくりかえされる。それが遠因となったか、書きこみをおこなった人間が次々に襲われる。その現場近くの路上には、いびつで邪気がただよう手作りの十字架が常に置いてあった……

青い虚空」でネット社会(ブルー・ノーウェア)の凄みと空虚さを描いたディーヴァーは、今度も最新ネット事情をからませて暗部をえぐる。ただ、単純にそれを糾弾しているかは微妙なところ。悪意も正義も簡単に実現できると誤解させるところがネットというものの怖さなのだと言いたいのだろう。

で、ディーヴァーを読み続けている人なら「あー、またやってる」を思わせる“肩すかし”も絶好調で、逆に「こう来たんだからこう落とすだろう」と類推する楽しみもある。

ところが油断していると「ディーヴァーのことだから絶対こいつが真犯人だっ!」的人物がチョロチョロして幻惑させてもくれます。マジで読者を翻弄することに長けておる。

作中にURLが挿入されているので、きっとアクセスしたらお楽しみが待っているはずだけど、わたしはやりませんでした。そこまでディーヴァーの術中にはまっては(T_T)

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