最初に映像化されたのは三浦しをんの原作と同名の映画「まほろ駅前多田便利軒」(2011 アスミックエース)だった。町田がモデルになっている“なんでもそろっているために住民が自足してしまう町”まほろにおいて、どこかしらはみだしている便利屋コンビ。人生はほんとうにやりなおせるかをあざといくらいに描いていた。
監督は大森南朋のお兄さん、大森立嗣。瑛太と松田龍平のコンビは、どちらもぬぐえない暗い過去をかかえていた。
「勇者ヨシヒコ」「湯けむりスナイパー」(今ごろ、はまってます)「モテキ」など、おどろくほどハイレベルな作品を連発するテレビ東京のドラマ24枠でドラマ化された「まほろ駅前番外地」は、前作の世界観を一新し(でもキャストはいっしょ)、たゆたう若僧ふたりの日常を淡々と描いている。脚本と演出は「モテキ」「湯けむり~」の大根仁。
いやああああ大根は天才だとつくづく。画面の隅々まで気を配ってあるのが歴然だし、キャストもみんな生き生きしてます。
意識したのが日テレのバディもの「傷だらけの天使」(萩原健一&水谷豊)、「俺たちの勲章」(松田優作&中村雅俊)なのは歴然。もっとも、萩原健一がビギで決めたファッションでトマトにかじりついていたのに比べ、こちらはツナギをダボッと着て納豆をかきまわしているのだが。
地方プロレスの引退興行につきあったり、レーザーカラオケに出てくるモデルを探したり(現在のその女性を風祭ゆきが演じます!日活ロマンポルノのファンは驚喜したはず)、赤ん坊の取り違えにかかわったり(「そして父になる」への返歌か。こっちには宮下順子が登場!日活ロマン~以下同文)、便利屋の日常は渋いし情けない。
しかし、まほろの町のなかで彼らは浮遊しつつ、決してプライドを失っていない(町のなかを逆向きで歩き、逆回転で再生されるタイトルバックがそれを象徴している)。
特に第1話から第5話あたりまでは史上最高のテレビドラマではないかと思うほどだった。未見の方はぜひお試しを。まもなく映画「まほろ駅前狂騒曲」公開。ああ、早く見たいなあ。
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やっぱり縁はなかったですねー。
瑛太は最初、自分が行天の役をやると思いこんでいた
そうで、それもまた楽しいかなと。
完全なボケとツッコミの逆転。
「湯けむりスナイパー』は私の敬愛する遠藤さんの代表作だと思ってます。また続編やらないかなー。
このシリーズは確かにアメリカン・ニューシネマのまっとうな後継者かも。
陽気なセリフがマシンガンのようにくりだされるのに、印象としては陰性。
でも見終わってすごく幸福な気分になれる。すばらしい。