事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「このミステリーがひどい!」 小谷野敦著 飛鳥新社

2016-06-21 | ミステリ

うーん、困ったなあ、というのが印象。

古今東西のミステリの“名作”(小谷野本人はみじんもそう考えていないことが多い)について、ネタを明かしながら(そのこと自体はさほど悪いことでもないだろう。ネタを割らないことが芸だともこの人は思っていない)、疑義を呈する……すみません、遠慮してしまいました。罵倒の連続です。


たとえばわたしの大好きな有栖川有栖の「マレー鉄道の謎」については


「推理作家協会賞をとっているので読んでみたら、あまりに普通の密室推理で、拍子抜けしてしまい、これなら狂気をはらんだ島田荘司の方がましかと思った。こういうのを好んで読む人というのは、やっぱり理解できない。」


横山秀夫の「64」に至っては、


「こ、これは……『バカミス』ではないか。」


もちろんそれにはうなずける点もある(笑)。しかしこの人がやっていることは、お皿の上にのったフルーツの良し悪しではなく、フルーツそのものへの罵倒に見える。「この作品のよさが私にはわからない」のなら読まなければよさそうなものなのに、彼はひたすらにフルーツを食べ、そして罵倒を続ける。わたしにはそのことの方がよほどわからないのだが。

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