事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「フェア・ゲーム」 Fair Game (2010 サミット・エンターテインメント)

2015-01-11 | 洋画

ナオミ・ワッツショーン・ペンが主演してダグ・リーマンが監督……どうしてこの映画のことを全然知らなかったのだろう。アメリカでは興行的に成功していないし、日本での公開はアメリカに遅れることおよそ一年。ひっそりとした上映だったのだろうか。確実に庄内では公開されてないな。

しかし見せる。内容は、イラクの大量破壊兵器の存在が嘘っぱちだったのに、なぜアメリカは戦争に突き進んだのか。ある夫婦の物語として展開。

ヴァレリーとジョーは仲むつまじいカップル。ジョーは友人たちとの政治的な会話で子どもっぽく怒ったりもするが、双子にもめぐまれ、穏やかな生活をしている。しかしヴァレリーは筋金入りのCIA工作員で、イラクから(核開発に携わった)科学者たちを国外に逃がす作戦に従事している。しかし政府のある方面はイラクに核兵器開発の意図も能力も残っていないのでは都合が悪いと思っていて……

お察しのように実話。エンドロールには本人が出てくる。ワッツと同じように(というかワッツが似せたのだろうが)ブロンドの美女。ショーン・ペンは政治的にリベラルなので有名だし、ときの政府を弾劾することを何とも思っていないのが頼もしい。作品も勇気あるものになっている。

表現の自由がある国、自由を謳歌できる国であるはずのアメリカの暗部。特にあの頃のどうしようもない大統領の下で働くのはしんどかっただろう。

しかし、この映画でもっとも怖いのは、ジャーナリストの一部が直接個人攻撃を行う描写だ。その女性記者も、自らは正義を行っていると信じているのだろう。権力寄りの姿勢になれると、マスコミは急速に腐敗する典型例。

タイトルのFair Gameは、公正なゲームが果たして行われているのかという皮肉と、“格好の標的”とのダブル・ミーニング。

製作にUAE(アラブ首長国連邦)がかんでいるのがおかしい。実在の工作員がモデルなので、エンドロールの役名は伏せ字だらけ。こんなの初めて見ました。

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