組織に属さないまま、彼なりの正義で事件を解決に導く(?)ジャック・リーチャーをトム・クルーズが演じた「アウトロー」の続編。二作目にして定型がっちり。
1.職業不定、住所不定。どこからともなくあらわれて事件にまきこまれる、というか自分で飛びこんで行く(股旅もの、そして西部劇のバリエーション)。
2.組織を嫌いながらも、歴戦の英雄であることは有名なので、軍の関係者に無条件に信頼(あるいは警戒)される。
3.クレジットカードを持たない主義なため、飛行機に乗るにも苦労する(今回は小娘がちょっぱったカードを使用。どこが正義の味方だ)。移動手段はもっぱらヒッチハイク。
4.携帯電話も持たないので、むしろその使用法に工夫がある(ラストでの使い方はおみごと)。
5.やたらにいい女が出てくるのに(前作はロザムンド・パイク、今作はコビー・スマルダーズ)、リーチャーと“そういうこと”にはならない。
……わたし、気づきましたよ。この放浪者(Drifter)は要するに寅さんなのだと。むかしはやんちゃしてたのに、今は妙にストイック。熱情の行く先を見つけられずにいる孤独な中年。
特に今回は“娘”が登場するので父性愛が前面に出てくる。車寅次郎が満男にそそいだ愛情に負けずに、リーチャーは自分を犠牲にしても少女を守ろうとする。まあ、最後にあの手を使うんだなと途中でまるわかりでしたが(笑)。
にしてもトムは女の趣味いいよねえ。近年に製作した映画に限っても、「ローグ・ネーション」のレベッカ・ファーガソン、「ゴースト・プロトコル」のポーラ・パットン、「M:i:Ⅲ」のミシェル・モナハン、そして「ラストサムライ」の小雪(笑)。今回のコビー・スマルダーズはそのなかでもトップクラス。リーチャーとの関係は軍人同士らしく乾いた感じ。下着姿になっても、セクシーというより男前だ。
演出は「ラストサムライ」でもトムと組んだエドワード・ズウィック。展開にコクがあって前作よりはるかに面白いです。お決まりのトムのフリーフォールが今回はないのかと思ったら……(笑)