もちろんそれまでにも彼女はたくさんの映画に出演していた。でも「お」と気づいたのは「タイタンの逆襲」でのアンドロメダ役。あれま、こんな魅力的な女優がいたのかぁ。つづいてトム・クルーズの「アウトロー」では、観客を悩殺することに監督とともに腐心しているようなセクシー演技。まいっちゃいました。
その水蜜桃女優、ロザムンド・パイクがデビッド・フィンチャーの作品に出る。共演はベン・アフレック。これはもう、見るしかないでしょ。
ニック・ダン(アフレック)とエイミー(パイク)はライター。ニューヨークで出会い、お互いを“完璧な相手”と認めて結婚する。しかし不況のために仕事は減り、ニックの母親の介護もあってミズーリへ引っ越す。まわりから見れば幸福な夫婦に見えたが、なにかが狂い始めていた……そしてある日、キッチンに大量の血痕をのこして妻の姿が消える。
フィンチャーの映画は、「セブン」「ファイト・クラブ」「ゾディアック」「ドラゴン・タトゥーの女」(冷蔵庫のシーンは最高でしたね)でわかるように、気分が悪くなるくらい面白いのが特徴。観客が映画館を出るとき、決して爽快な気分にはしてくれない。でも、でもひたすら面白いので次も、となる麻薬のような旦那。
今回は特にすごい。夫と妻、インテリと労働者階級、都会と田舎、巨乳と貧乳(笑)、男と女という対立軸を数多く用意して、まさかまさかの展開に。
ネタバレは禁止だけど、知的(ハーバード出身という設定。パイク自身もオックスフォード出です)で、すでにそう若くない妻なのに、消えた“娘”というタイトルなのがヒントになっている。
エイミーは、子どものころに両親によって“完璧なエイミー”(Amazing Amy)という童話のモデルになっていたのだ。完璧な生活と現実のすき間をうめるために彼女がとった行動とは……
信じていた隣人に裏切られ、傷だらけになって電話をかけるエイミーのそばを、巨大なトラックが通り過ぎるなど、フィンチャーの演出はあいかわらずスタイリッシュ。日本ではなかなかお目にかかれないタイラー・ペリーが弁護士役でいい感じ。ニックの双子の妹を演じたのは誰?すごい。
しかしこういう映画がヒットすると、ますます未婚率は高くなりそうだなあ。わたし?そりゃあ結婚してよかったと思っておりますよ。え、妻の血液型?親友の名前?いつもなにをしている?……すみません何も把握してません。
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この人に色っぽさはとんと感じないのですが、男性の目から見るとどうなんでしょ。
なんかねえ、感情が欠如した人みたいに見えるんですよ。
それが生きてた気がします。
知的な感じがこの映画を“下着をつけた氷の微笑”
レベルから救っているような気がしますし。
ハリウッドの普遍の法則である“物書きの女と結婚しては
いけない”を踏襲しているのも笑えます。