その5「恋する空港」はこちら。
書評という形でなら何でも言っていいですよね。
現役キャリア官僚が書いた「原発ホワイトアウト」の続篇。というより変奏曲だ。
今回、若杉が暴いたのは今上天皇の意向。彼が内心、原発再稼働に反対していて、安倍政権に嫌悪感を抱いているのは、その発言を虚心に読めば誰にでもわかる話であり、その部分をまるまる報じないNHKと読売が(彼らやネトウヨが言うところの)“偏向”しているのだろう。
彼に接することができる中枢だけがそれを知っていて、しかしそれは表ざたになかなかならないために小説という形で叩きつけたわけだ。モデル小説として、原発再稼働などの予想は当たりまくりなのに、大阪市長が政界を引退するところだけは外れたな……と思っていたらこの始末。
なんとこの小説では、彼を総理にしろとの本人の要求を、認証しないという荒技で天皇は拒否する。わたしは今上のことが好きだから(たいがいの日本人よりもリベラルですきっと)納得はするけれども、日本はまだこの人に頼らなければ何もできないのかと……
その7「あしたの君へ」につづく。