今月の名言2011年1月号～小指の思い出

10年12月号「スタック」はこちら。

「自宅で待ってました。そろそろ風俗へ行こうかと思ってたら電話がかかってきた。行かなくてよかったです」

　西村賢太の芥川賞受賞コメント。今回の芥川賞はみごとなコントラスト。中卒、ガテン系フリーター、そして傷害で前科二犯の西村と、華麗なる一族にかこまれたお嬢さまである朝吹真理子の同時受賞。まあ、前からふたりとも本命視されていたわけだけど、わたしは文壇にケンカを売りまくっている小谷野敦にとってほしかったなあ。

　直木賞の方は、なんといっても道尾秀介の受賞がうれしいし、くやしい。2009年の第140回から5期連続ノミネートされているのだから、下読みの段階で実力が断トツであることは証明済み。でも、なぜかノミネート止まりだったので、こうなりゃどこまで連続記録がのばせるかを究めてほしかった（笑）。

「まずは『セックスをしてるんだ』ということを言ってもらわないと話がすすまないでしょ」

おなじみ、「ほぼ日刊イトイ新聞」における、昭和歌謡に関するみうらじゅんの発言。これは至言だなあ。どういう文脈で出てきたかというと、“爪を噛むのはよくないわ”とか言われても、歌詞の内容もよくわかんないし‥‥つまり、童貞のときはセックスをめざして生きてるのに、昔の歌謡曲は「してから」の話だから、よくわからないと。まったくだ（笑）。あなたが噛んだ小指が痛い、って子どもの頃にはまったく意味不明だったもんね。まあ、ガキにはうかがいしれない淫靡な世界なのだろうと想像はしておりましたが。

2011年2月号～ガチンコはこちら。