ホームメイド・ケフィアを好きな方のために

ホームメイド・ケフィアをこれから始めたい方、すでに始めている方のブログです。ケフィアについての感想や質問をお書き下さい。

ケフィアの話(20)

2006年12月03日 19時33分44秒 | Weblog
(前回の続き)ケフィアの話も今回で20回になりますが、一先ず総括しておきたいと思います。

 わが国には奈良朝時代に渡来人善那によって牛乳が献上され、一時は朝廷が各地に乳牛の飼育を奨励して乳製品を朝廷に献上する「貢蘇の制度」まで作られましたが、わが国の気候風土がヨーロッパや中央アジアのように牛乳の自然発酵に適していなかったために、主として加熱濃縮による加工が行われたことが乳製品を高価なものにして、庶民の間に乳利用文化が定着しなかった歴史的事実がありました。
 しかし、科学技術の進歩によって、わが国の気候風土にもかかわらず、家庭で誰でも牛乳を発酵できる環境が整いました。すなわち、
1) 牛乳の殺菌と包装の技術革新によって無菌に近い「紙パック牛乳」が普及したこと
2) 乳酸菌・酵母の純粋培養技術の発展によって「高活性ケフィア菌」の開発
です。
 今日、市場には多様な乳製品が販売されていますので、消費者はそれらの商品を購入して食生活を楽しむことが出来ます。しかし、消費者自らが加工して調理することがなければ食文化が育ちません。わが国には米や大豆を主体とした多様な和食文化が育っていますが、それは庶民の工夫によっていろいろな料理が生まれたからであり、乳利用文化は風土的制約のため育って来ませんでした。それによって和食文化の方が優れているかのようにいう向きがありますが、それは違います。米や大豆は確かに優れた食料資源ですが、乳製品もまた米や大豆を補完する栄養成分を含んだ優れた食料資源です。ただ風土的制約のために、わが国では長い間牛乳の発酵が行われてこなかっただけです。幸い上述の通り科学技術の進歩によって、牛乳の発酵が可能な環境が整ったわけですから、和食に牛乳を発酵させたメニューを加えることによって、栄養的により優れた食事を作ることがで出来るようになった思います。さらに、これからますます高齢化社会に向かっているわが国においては、家庭で手軽に牛乳を発酵させることによって、プロバイオティクス(体に役立つ微生物を含んだ食品)としての効果が期待できるばかりでなく、食卓にケフィアを利用したいろいろなメニューが揃えば、食生活を豊かに楽しく演出できると思います。

 ここで注意しておきたいことは、日本の気候風土は奈良町時代から変わっていないことです。従って、「ヨーグルトきのこ」や「カスピ海ヨーグルト」のように発酵させたヨーグルトを種菌にして、植え継ぎながら牛乳を発酵させるのは間違っていることは歴史的事実の示している通りです。これらの2回のブームは家庭で牛乳を発酵させる人を増やしたことは確かですが、一般消費者にケフィアとの混乱があり、ホームメイド・ケフィアの正しい普及のためには決してよいことではありませんでした。幸いホームメイド・ケフィアを使って下さっていた方々は、ブームの悪弊に惑わされることがなく、正しく発酵させて下さっていたために、ブームの後にもホームメイド・ケフィアの普及が止まることがありませんでした。

 ホームメイド・ケフィアを発売して16年目を迎えますが、発売当時オンリーワンであったホームメイド・ケフィアも、後続の企業の参入が後を絶たずケフィア菌あるいは類似菌を販売している企業が今や十指に余るようになりました。これらの企業の中には大々的に宣伝して、ケフィア市場の活性化に貢献している企業もあり、それはケフィアの普及のために悪いことではありませんが、宣伝にはおのずと矜持を保つべきであろうと思います。しかし、まだまだケフィアが消費者の間に正しく認知されているとは言い難いので、ケフィアにかかわる全ての企業はケフィア市場の健全な育成のために協力しあわなければならないだろうと思います。

 今回でケフィアの話をしばらく休み、次からはケフィアと健康をテーマにしたいと思っています。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ケフィアの話(19) | トップ | 松坂大輔の言葉 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事