ホームメイド・ケフィアを好きな方のために

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ケフィアの話(4)

2006年08月09日 16時05分27秒 | Weblog
(前回の続き)さて、今回はコーカサスのケフィアについてお話します。
コーカサス地方とは、西側に黒海、東側にカスピ海、北側にコーカサス山脈に取り囲まれた地域を指しています。この地方はパキスタンのフンザ地方、南エクアドルのビルカバンバと並んで世界の三大長寿地帯と呼ばれていますが、中でもコーカサス地方は昔から戸籍が整備されていましたので信頼度の高い長寿地帯です。

コーカサス地方には100歳を越す元気な老人が多いことで有名ですが、この地方の人々はケフィア粒と呼ばれる種菌で牛乳を醗酵させたケフィアを食べています。
コーカサス地方でいつからケフィア粒で牛乳を醗酵するようになったかははっきりしませんが、アメリカの有名な乳製品学者のコシコフスキーは、このケフィア粒を神様の贈物(The gift of the Gods)と呼んでいます。アゼルバイジャンのトルコ系の回教徒の間では、古くからケフィア粒を「預言者の黍」と呼んでいたと言っています。彼等はまた最初のケフィア粒はアラーの神がもたらしたものと信じています。

ケフィア粒は乾燥すれば上述のように黍状の硬い塊ですから、コーカサスではこの状態で保存していたようです。牛乳に加えると写真のような柔らかい塊になります。この塊はきのこに似ていますので、日本では「ヨーグルトきのこ」と呼ばれて、これで牛乳を醗酵させることが流行ったことがあります。しかしコーカサス山麓地帯の風土と違って温暖多湿の日本の風土では雑菌汚染を防いでケフィア粒を保存することが難しく衛生面の不安のためにブームは終息しました。

ケフィアの健康効果が注目されるようになって、多くの研究者がコーカサスのケフィア粒を取り寄せて研究しました。その結果ケフィア粒は乳酸菌と酵母から構成されていることがわかりましたが、研究者によって分離される乳酸菌や酵母の種類が少しづつ違っています。つまり、コーカサス地方では各家庭毎に秘伝のケフィア粒を秘蔵しており、継承しているケフィア粒に含まれていた乳酸菌や酵母の種類が少しずつ違っているようです。総じてケフィア粒から30数種類の乳酸菌と10数種類の酵母が分離されています。

前回、メチニコフはブルガリアに長寿者が多いのはヨーグルトを食べているためではないかと考えたとお話をしましたが、多くの研究者はコーカサス地方に元気な長寿者が多いことに注目しました。それでロシアから東欧にかけて、ケフィアを食べさせて病気を治そうという療養所や病院がたくさんつくられました。つまりヨーグルトはメチニコフによって西回りに普及しましたが、ケフィアのヨーロッパへの普及はヨーグルトより遅れて北周りに普及することになりました。

ヨーグルトは牛乳を乳酸菌で醗酵させていますが、ケフィアは上述のようにケフィア粒で醗酵させています。ケフィア粒には数種類の乳酸菌と酵母が含まれています。したがって乳酸菌だけで発酵させるヨーグルトと、乳酸菌と酵母で発酵させるケフィアは、同じ発酵乳でも風味や醗酵の仕方が違います。(次回に続きます)
コメント
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