hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

藤沢周平「周平独言」を読む

2008年11月08日 | 読書2


藤沢周平「周平独言(しゅうへいどくげん)」2006年10月、中央公論新社発行 を読んだ。


さまざまな種類のエッセイが収録されている。自らの生い立ち、幼年時代、師と友のこと、身辺のこと、創作秘話などだが、エッセイとは言えない故郷の荘内藩の人物の物語りなども収められている。

4章に分かれている。

時代のぬくもり
「鳥居元忠の奮戦」、「荘内藩主酒井忠発の明暗」、「大石内蔵助の真意」など歴史読み物。「周五郎さんのこと」では“山本周五郎が好きでしょう、と言われる。・・・正直なところ、私は山本周五郎の作品が好きだが、この好きの程度はせいぜい一般読者並みである”と困惑している。

三つの城下町
郷里鶴岡あるいは荘内についての話がほとんどだ。ローカル雑誌に連載されたもので、ローカル過ぎる話題が多く、私はついていけず、読み飛ばしたところもある。

周平独言
「流行嫌い」で、藤沢周平ははやりものが嫌いで、自分でへそ曲がりといっている。市井の地味な人に焦点を当てる小説からは実直な人柄と想像されるが、やはり実直だけでは小説は書けないのだろう。

汗だくの格闘
「賭けごと」の中で、パチンコ好きであることを告白している。ホタルの光が流れるまでなんとか負けを取り戻せないかと頑張り、店を出たときは電車賃の30円しか残っていなかったという。抑制がきかない性格らしいがはっきりそれを自覚、抑制している。
「コンニチハ赤チャン」では、小説を計画的に書けず、外部騒音など気の散ることが多く、漫然と机の前に坐っていて、いつも締め切り前に夜遅くなると嘆いている。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)



貧しいが、誇りを持って生きる下級武士が主人公の藤沢周平の小説が、私は好きだ。とくに「蝉しぐれ」は愛読書だ。しかし、359ページのこの本では、故郷の話、歴史物語が多く、あまり知られることがない藤沢周平の素顔が出てくるのは、ところどころにしかない。
熱烈な周平ファンはともかく、多くの人には冗長だろう。



それにしても、引越しを明後日に控えて、本読んだり、ブログ書いたりしていて良いのだろうか。奥様は、いつものあきらめ顔だろうか、それとも?



藤沢周平の略歴と既読本リスト

コメント
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