沖縄旅行報告をまた1回パスして読後感想。
小川有里 「定年ちいぱっぱ」 副題「二人はツライよ」2005年毎日新聞社発行を読んだ。
2007年から始まる大定年時代の重要課題、「自立夫育て」の摩擦と冷戦の日々の記録である。
定年後ぐうたらする夫に対する妻の教育法と、対抗する両者の駆け引きが参考になる。
著者は、1946年高知県生まれ。介護雑誌などのライターを15年続けた後、現在はエッセイスト、ショートショート作家。
定年亭主がお昼時、おはしをぶらぶらさせながら待っているのを見ると奥さんの血圧があがる。
「明日から昼は自分で作って洗って」とシノコノ言う夫に宣言する。翌日からインスタントラーメン作成法の伝授が始まる。この調子で、「別室で寝る」、「電話を取る」、「掃除をする」、「昼間、夫は2階、妻は1階に」と消極的抵抗を乗り越え、手を変え品を変え、しつけていく。食べるのが簡単だからバナナが好き、のどが渇いても自分でお茶を入れるくらいなら我慢をするという大変なモノグサ夫を教育していく(私に言わせれば普通でモノグサではないが)。
妻が「ちょっとクリーニング屋へ」と言えば、「僕も」という。どこへでも付いて行きたがる。これをポチ化と言う。昼下がりのスーパーへ行くと、おばさんと頭の白いポチが何組もいる。
夫の定年後も今までの行動を変えるつもりはない妻も多い。現役の夫は定年退職しても妻に遊んでもらえないことを覚悟して、今から「ボクちゃん、一人で遊べるもん」というものを沢山見つけておくことを著者は勧めている。
厳しい競争に耐え、ようやくハッピーリタイヤーにこぎつけたあなたを待つ現実はこのようなものなのです。
私が思うには、厳しいことを言う奥さんはかえって扱いやすい。この本の著者もそうだが、本当は心優しいのに、そうであってはならぬときついことを言っている場合が多い。
妻の厳しい言葉や皮肉にはけして反抗することなく柳に風と受け流し、面白そうなことは機会をみて始め、気が向かないことは多少の改善と哀れっぽさの演出で、敵のやさしさに付け込むのがよいと学んだ。料理、洗濯、掃除など多少出来ても下手を演じ、あきらめと同情を誘う手だ。ただし、やりすぎて決定的なことにならない程度に。
我奥様はけしてきついことは言わないのだが、考えていることは分かるし、ときどき本音がうかがえる。このような場合こそ、対処法が難しい。この本のだんなさんほど私のぐうたらぶりはひどくないが(あくまで自己評価だが)、大なり小なり似たところは探せばあるだろう(探さなくても?)。すべてを心にストレスとして溜め込む心優しい奥様への対処法が知りたい。もちろん、私自身は楽チンでぐうたらしたまま、なんとかしたいのだが。