ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~女の御霊と、磨き方~

2012-12-16 | 散華の如く~天下出世の蝶~
濃紺にあやめを螺鈿貝細工で彩り、
艶やかに優しく輝く懐剣の柄模様。
左脇に差す懐剣のそれを見つめて、
「これの事?」
首を傾げる姫に、美しきを教えた。
帰蝶「職人の手により、美しく仕上げられておろう?」
市姫「珠(宝石)のようにキレイ…」
帰蝶「一つを成し得るに、複数のモノたちが魂を使う」
美しきが人の手に渡り、それをどう使うか?
モノを扱う者の心により、それは変化する。
欲に走れば、美しさ欠き、職人の御霊穢す。
悪しきに使えば、そのモノ穢れ、品位欠く。
「複数の御霊、その思いを汚しては成らぬ」
市姫「もし、汚れたら?」
帰蝶「汚れを祓い、磨くのです」
譲られた御魂を汚さぬ様、常に美しさを保つ、その術を…、
「今度、磨き方をお教え致しましょう」
市姫「難しいか?」
面倒は、イヤ。でも、美しきは好き。
全く矛盾した姫様で、困ったものだ。
帰蝶「難しいと思うから、難しく、面倒と思うから、イヤになる」
人は難しいと面倒から離れては、何も成し遂げられぬ。
「行(毎日の仕事)を好きになるために、やってみる事です」
やって生く内、何がイヤで何が好きか分かる。
磨きを身に付ければ、やらぬ事がイヤになる。
「身に付く(体が覚える)まで、私がご一緒致します」
市姫「キレイは、大変ね…」
ふぅ…とおませが目を閉じて、一つ、ため息を付いた。
帰蝶「それは、そなたにも言える事…」
私は、姫の御口に指でなぞり…「そろそろ、紅でも注(さ)すか?」