ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~兄が敵、それでも…~

2012-12-08 | 散華の如く~天下出世の蝶~
半分だけ繋がる、七つ上の兄。
義龍の兄上様が、好きだった。
兄上様、兄上様と兄の後を付いて回り、
「ねぇ。兄上様、教えて下さいませ」
将棋に剣術、弓道におはじき(パチンコ)…
私は、人形遊びよりチャンバラを好んだ。
“お前が男なら”
やれやれと、兄は肩をすくめ、
しぶしぶと、私の相手をして、
“帰蝶様、筋が良い。しかし…”
どうやら、肩に力が入るらしい。
従兄弟殿はそれを直してくれた。
私の世話を焼く素敵な従兄弟殿、
御顔立ちがとても凛々しいわ
華の噂が絶えぬ彼と私は、結婚する…はずだった。
「結婚…?」
隣国尾張との戦、その和睦で、
私は敵国に嫁ぐ事になったが、
その和睦も解消され、
大好きな兄は夫の敵。
市姫「兄上が、敵に…なっちゃうの?」
泣き腫らした目をこちらに向け、
信じられない…という顔をした。
帰蝶「私も出来るなら実家に戻りたい…しかし、」
いくら私が、斎藤家との離縁を迫っても、
我が首を城外に晒せと言って聞かせても、
“成らぬ”
夫は、我が命を第一にと、美濃の要求をひたすら呑み、
ただただ黙って、美濃安泰、その為の今戦に臨まれる。
市姫「ヤッ。そんなのヤだッ。…お嫁になんて、行かないッ」