ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~地獄耳~

2012-11-27 | 散華の如く~天下出世の蝶~
正室から外せ、降ろせ。
座から除けよ、堕ちよ。
我が子に向けて、囁かれているようで、嫌気が差す。
「姫様もご一緒にいかが?」茶や香やカルタを誘うが、建前だけ。
誘いを断るとつれない姫と、私のいない場所で噂に花を咲かせる。
ぱぁとにこやかに挨拶したかと思えば、
裏では扇で口元隠し、散々な言いよう。
仕方がない。
私は敵国の嫁、戦の原因を作ったのだ。
当然の報い。
ただ苦しくて、逃げたい、
殿の正室は務まらないと、
正室の座から外して下さいませ、そう嘆願したが、
“成らぬ”
殿は決して、私を正室から外す事を、なさらない。
なぜに、ございますか?
聡明かつ美しき方が、
生駒が正室となれば、
誰も文句は言うまい。
なのに、
なぜ、私なのでございますか?
生駒「いえ、そういうつもりでは、」
困ったわ…と生駒は、一服茶を啜り、
ふぅ…と、一息付いて、
「いつも、そうやって耳を塞いでおいでなのかと、」
帰蝶「耳…、塞ぐ?」
生駒「濃姫様は、我らの声を聴いては下さらない」
帰蝶「聴かずとも、聞こえるわ」
聞きたくない…なのに、
我が地獄耳が、心にまで、その醜き声を届ける。


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