ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~当て馬~

2012-12-27 | 散華の如く~天下出世の蝶~
バンッ
作法書『式部之書』を殿に投げ付け、
帰蝶「晴れませぬ」
信長「コレ、ヒトやモノに当たるでない」
帰蝶「では、当て馬を立てて下さいませ」
信長「杉原は、当てにならぬか?」
帰蝶「彼女は…」杉原は否の打ちどころの無く、
私の狭き淋しき心をよう察し、面倒見が良く、居て、助かる。
信長「良い話し相手になろう」
彼女は、殿が私のために用立てた侍女だった。
帰蝶「…」
殿は、私より先に侍女らに疑いの目を向けていた。
三度の流産。
もしや、食に堕胎薬をと、まず先に侍女らを疑い、
そこで起用されたのが、尾張家臣杉原の娘だった。
侍女の見張り役として、抜擢された彼女だったが、
三人の娘がいる。一番上は十四で早々医者に嫁ぎ、
残った二番寧々と三番ややを連れて来るよう命じ、
しかし、それでは依怙贔屓。他も同じように扱い、
「…私の部屋が、ありませぬ」
信長「いつも通り、ここを使えば良かろう」
帰蝶「いつも…」
信長「留守中、ここで転寝。書を勝手持ち出す理由も無くなろうが、え?」
私は、ここの緋色アラベスク絨毯で寝そべるのが好きだっ。
端たなくも足を投げ出し、アラベスク(永遠)の中で横になる。
それはまるで、輪廻転生を待ち侘びる、ややのように感じる。
殿の御部屋は、興味の宝庫。面白そうな書を密かに持ち出し、
バレぬよう、元に戻して置いたはずが全部御見通しであった。
言い返す言葉が無く、ついには、
帰蝶「…私に、新しき懐剣を用立てて下さいませ」