ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~朝廷使者と賜り物~

2012-12-01 | 散華の如く~天下出世の蝶~
養徳院「朝廷への賜り物…、今度お願いしようかしら」
帰蝶「え…?」
水引は、平安室町時代、明から伝わった糸結びの飾り。
朝廷への賜り物の飾りに、と付けられた事が始まりで、
公家皇女、身分の高い姫君の教養にと教えられていた。
現代でも、結婚、結納の慶事引出物や法事お布施の品にも用いられる。
慶事弔事の水引は「結び切り(本結び)」紅白や金銀の水引を掛けるが習い。
これは、末永いお付き合いと、という意味が込められている。
出世出産等、何度あっても良い慶事には「蝶結び」を用いる。
「朝廷…へ?」
養徳院「今川討伐の後、京宮中 堺商人を手中に治める手筈…」
帰蝶「…」
息子 信輝の情報から、養徳院様は裏か手を廻し、京へ京へと密かに進軍中。
「しかし、平手様亡き後…」
養徳院「…彼の後見を誰に命ずるか…」
平手様は、軍重役、朝廷への使者も担っておられ、彼の諌死は、織田家にとって痛手だった。
朝廷への賜り物を用立てても、使者不在では…。
新たに適役者を見つけるか、育てるかしないと、
「とにかく、今、我らは出来る事を致しましょう」
帰蝶「はい…」
養徳院「これより、私、京に向かいます故、お二人に一つ、お頼みしたい事が…」
生駒「はい、なんなりと」
帰蝶「…い」
生駒ぁ…、内容を聞かずに、安請け合いしてはなら…、
養徳院「では、殿の妹君をこれへ」
帰蝶「ぬ…」
末の妹…
生駒「一秀様にございますか?」い、いちか…様とは、後のお市の方様。
殿の父 秀信様と生母 土田御前様との間の子で、殿とは十五、六も離れている妹君。
末娘というだけあって、相当大物らしい…。