ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~疑いの目~

2012-12-26 | 散華の如く~天下出世の蝶~
うぅ…ん。
こいは、子供の事ですから…と言うてはくれたが、
水に油の、あの子らを、このままにして良いのか?
私は侍女に子たちを任せ、密かに殿の部屋に行き、
沢彦様が私に渡した作法書『式部之書』の活字図案だけを目で追って、
腕組し、眉間にシワを寄せ一点を睨み、殿の御考えを思案していたら、
帰蝶「ふ?」と、枝葉に視界を遮られた。
視界を遮ったのは、あの時の、南天で、
信長「誰のマネか?」
帰蝶「入室の際は、お声を掛け下さいませ。ややが驚きましょう?」
信長「…待ち伏せて、それは無かろう?」
視界を遮っていた南天を向こうに押しやり、
帰蝶「これ、殿の策にございましょう?」
信長「さて、何の事か、検討付かん」
すっとぼけおって。
南天の枝は木の実包み、さらに、水引が結ばれていた。
市姫に教えた折形に、私が与えたあわじ結びを飾り…、
帰蝶「妹君の事にございます」
信長「あぁ、市か…」
南天を右に、左に半回転、繁々と意味有りげに見ていた。

帰蝶「何を、お考えで?」
信長「特段、今、戦しか有らず」
帰蝶「今…?」
ねぇねぇ、兄上が戦に行かれる時、何と申し上げれば良い?
市姫は、私にこう訊ねた。だから、
“御武運、お祈り申し上げます”
無事を祈る心、その思いを伝えよと、私は教えた。
そして今、市姫の、その祈りが殿の手の中にある。
私、殿にハメられた?
信長「それより、そなた。“疑い”は晴れたか?」


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