ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

雲隠 小枝御前

2010-12-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
便女「…」無言で和菓子を繭子に預けて、もじもじ(トイレに行きたい…漏れそう…)した。
繭子「あぁ、ずっと預けたままで…ごめんなさい。ここで待ってるから、行ってらっしゃい」
すると、小枝と呼ばれた便女は会場外に設置された仮説便所に向った。テケテケと走って。
弁慶「小枝(さえ)って…」
繭子「えぇ。雲隠(くもがくれ) 若菜の香…懐かしいでしょ」
弁慶「…って義仲の母上様!?」
繭子「大・正・解…」とパチパチパチ…と三回空しく拍手した。
サブ「冷静に、正解に“大”付けて強調して拍手で栄誉を讃えんじゃねぇよ!」大問題だ!
弁慶「おいおい、巴と同じく敵討ちか?」だって、あれは…
繭子「…狙いは私たちでしょ」
弁慶「私たち?」
サブ「シッ!」とたしなめた所で、用を足しスッキリした顔なのか分からないが、便女が便所から戻って来た。(話が途中途中で寸断されて申し訳ない…)
繭子「お帰りなさい…」と和菓子を再び預けようしたら、頭をブンブン(ヤダヤダ)と振って、フッと両手を差し出した。その手がベッショベショだったから、
弁慶「はい…(小枝御前…ハンカチぐらい持っとけよ)」と懐から手ぬぐいを出して渡したら、小枝さんは一瞬止まって、おずおず手ぬぐいを受け取り「クン?」と匂いを嗅いだ。
サブ「くせぇ…って?」
弁慶「失敬なっ!洗ったばっかだ」と豪語したが、気になって腕を持ち上げ脇を「クン?」と嗅いだ。芳しくも臭い男の汗の匂いがしたから「繭子、俺に男性用コロン、作ってくれよ」
繭子「そんなの付けたら、義経に怒られるわよ」
サブ「人工的なもん付けんなぁっ!!て。義経、鼻が利くもんな」
小枝さん「…」無言で頭をペコっと下げ、手ぬぐいを弁慶に返した。
弁慶「おいおい…感謝くらい言葉と声で伝えてくれよ」と濡れた手ぬぐいを懐に仕舞った。
繭子「誠意ある態度なら言葉失くともその心、伝わる…」と呟いて和菓子を便女に預けた。
サブ「…(言葉失くとも?)」とあやされてキャッキャと喜ぶ和菓子を抱っこする便女を見た。
弁慶「…」その様子を見て、不意に静を思い出した。生きた赤ん坊を抱っこしたかったろうな、と。取り上げられた赤ん坊に情が移るといけないからと一度も抱かせてもらえず、母の磯乃さん(磯禅師)が頼朝の家来に渡し、その子は海に投げ入れられた。無事産声を上げ、生きてさえいてくれれば歴史は違っていたかもしれない…と、女の宿命と使命を悲しく思った。


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