ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~イチキヒメ~

2012-12-30 | 散華の如く~天下出世の蝶~
平安の世、平清盛が厳島の御社に女神が降ろし、
海上整備、国家繁栄、武家社会平定を祈願した。
厳島祭神、市杵島姫命(イチキシマノヒメミコト)。
白い肌に、柔和なお顔立ち。薄衣露わに片足上げて、
水辺に座り琵琶を奏で、響く神音に人は心癒されん。
後に吉祥招福、芸能と水を司る天部の弁財天と習合。
つまり、殿の祖平家の、守護神…
帰蝶「あれを、神に仕立てるおつもりにございますか?」
“秀子…嫌い”
ひでこ、と呼ばれる事を嫌い、渾名を付けた。
一秀、一の姫の「一」の字を「市」に宛がい、
殿は、あれを「市」と呼んだ。
その「市」に、近江の琵琶を抑えさせるなど、
「あれは、私の娘…どこへもやりませぬ。ましてや、敵方に嫁がせるなど…嫌にございます」
私の、二の舞になるのでは…、
それだけは何としても避けたい。
信長「では、他を用立てる」
帰蝶「他…」
信長「寧々」
帰蝶「寧々…と、逢うたのですか?」
信長「なかかなの器量良し。上手く立ち回れよう」
帰蝶「いえ、…あれは、難しき女子にございます」
信長「どういう事か?」
帰蝶「あれは、油…」
一旦火が点くと激しく燃える炎。
灯の芯は強く、母似で忍耐強い。
あの寛容さと聡明さで申し分なく立ち振る舞えるであろうが、
“私…どんな役でも、構いませぬ”
市に遠慮し、母役を拒む寧々の、
あの我慢強さが気掛かりだった。


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