ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~隠れんぼ~

2012-12-06 | 散華の如く~天下出世の蝶~
生駒「私が行って…」
帰蝶「そなたが行って、彼女に何を申すつもりか?」
生駒「え?」
帰蝶「よしよし優しく宥め賺(すか)し、お姫様に戻って頂く気か?」
生駒「…しかし、このままでは、」
帰蝶「私が行く。そなたは、水引を結っておれ」
一つ、紐を結って見せて
生駒「…あの、濃姫様、…は、」
あわじ結びから梅の花を結って、生駒に渡した。
帰蝶「戻るまでに、沢山の梅を咲かせよ」
タン、襖を静かに締めて、
パン、身重に一つ鞭打ち、義妹を探しに向かった。
やれやれ厄介な性格になってしまったものだ…と、
大きく深呼吸、ついで、ふぅ…、ため息を付いた。
吐き出した吐息と後悔の念は、濃く深く白かった。
さてさて、隠れんぼ。はてはて何年振りであろう?
“兄上たちには、絶対、捕まりませぬ”
美濃のお城を舞台に兄と従兄弟で、大掛かりで壮大な隠れんぼ。
なかなか見つけてくれない鬼さん、底冷えする寒さで、
もじ…、厠(トイレ)が近くなった。
袿(上衣)を、バサッ、脱ぎ捨てて、
用を足そうとするが、
市姫「う…ん、う、」冬の衣は重く、たくし上げるのが大変。
帰蝶「手伝おう」
市姫「…う、ん」こればかりは子供、素直に応じていた。
彼女の衣をたくし上げて、用を足すのを手伝った。
帰蝶「はい」手水で手を洗わせて、手を拭くその間に、さ…と彼女に袿を着せた。
彼女の袿は、絹の光沢が艶やかで、美しい真紅に雪輪と銀蝶があしらわれていた。
美しきそれを逃がさぬ様、
“捕まえた”


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。