小さなお手々が、私の袂をぐいぐいと引っ張り、
「わらわの敵なら、強うなれ。泣いては成らぬッ」
やはり、いややいややと、駄々を捏ねて、
可愛いらしいお手で、私を揺すり励ます。
私は、そそと涙を拭いて、
帰蝶「すみません…」
殿に言う様に、わらわ様に謝った。
すると、
市姫「勝負ッ」
帰蝶「え?」
市姫「信長の兄上は、渡さぬ」
帰蝶「さて、恋敵がもう一人、おりますが?」
市姫「あ…あの者は…嫌いじゃ」
ふんと顔を横に向けた。
「だって…」
帰蝶「あらあら、生駒殿、なかなか強かにございますよ」
市姫「したたか?」
帰蝶「つまりは、相手にとって不足無し」
市姫「ふぅん。ならば、いざ…」
帰蝶「出陣」
市姫「あぁ」
まるで小さなお殿様。そのお手に引かれながら、
冷たい風の通る廊下を歩いて…
「ねぇ」
九つらしい笑顔をこちらに向けた。
「ややは女子か?それとも、男(おのこ)?わらわ、妹が欲しい」
帰蝶「妹…」
市姫「一緒に、遊ぶの。絶対、姫じゃ。姫じゃないと、ヤ」
帰蝶「まぁ、では、童神様にお頼みしましょうか」
市姫「で、いつ生まれる?」
「わらわの敵なら、強うなれ。泣いては成らぬッ」
やはり、いややいややと、駄々を捏ねて、
可愛いらしいお手で、私を揺すり励ます。
私は、そそと涙を拭いて、
帰蝶「すみません…」
殿に言う様に、わらわ様に謝った。
すると、
市姫「勝負ッ」
帰蝶「え?」
市姫「信長の兄上は、渡さぬ」
帰蝶「さて、恋敵がもう一人、おりますが?」
市姫「あ…あの者は…嫌いじゃ」
ふんと顔を横に向けた。
「だって…」
帰蝶「あらあら、生駒殿、なかなか強かにございますよ」
市姫「したたか?」
帰蝶「つまりは、相手にとって不足無し」
市姫「ふぅん。ならば、いざ…」
帰蝶「出陣」
市姫「あぁ」
まるで小さなお殿様。そのお手に引かれながら、
冷たい風の通る廊下を歩いて…
「ねぇ」
九つらしい笑顔をこちらに向けた。
「ややは女子か?それとも、男(おのこ)?わらわ、妹が欲しい」
帰蝶「妹…」
市姫「一緒に、遊ぶの。絶対、姫じゃ。姫じゃないと、ヤ」
帰蝶「まぁ、では、童神様にお頼みしましょうか」
市姫「で、いつ生まれる?」