ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

森の鬼退治・鬼の離縁状

2012-01-15 | 森の鬼退治
中村「池田様は最期まで長可様を…、立派な最期でございました。それと、長可殿の懐に、」
血に染まった書状を差し出した。その内容は、
泉「遺言…?」ではなく、離縁状だった。
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泉、腹の子は、よく蹴っているか?
女子なら、銃等持たすな。医者に嫁がせろ。
男子なら、御父上様のような武将に育てよ。
俺のように、最後の最期まで聞き分けのない、出来の悪い息子にはするな。
俺は御父上様の後を追う。あの世でまたお叱り受けるだろう。
だが、父と子と、ゆっくり酒が飲みたくなった。戦に飽きた。
戦の度毎に心が壊れた。流れる血が己の血か、人か、鬼か。
そんな鬼の血を流させ、手当させてしまって、泉、すまん。
ひと時であったが、白装束を脱いだ時、幸せと思った。
心残りは、お前と子を幸せに出来ぬ事、許せ。
今回の件、お前たちの事は“秀吉様”にお頼みした。案ずるな。
今後、火急の時は“家康様”に御相談するよう、弟たちによくよく申し付けよ。
申し付け終わったら、再婚して好し。幸せになれ、子を頼む。

泉、白装束が嫌いだと言っていたな。
俺も嫌いだ。お前の白装束など見たくもない。
だから、先に逝く。

もし、来世、許されるなら、
白き水に咲く花の如し
美しき白鷺の子を愛でたいものだ

さらば、森 武蔵 長可
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享年27、源氏の白鬼といわれた長可の首は父の眠る可成寺(岐阜県可児市)に埋葬された。
こうして、一番下の弟 千丸を残し、森の鬼退治は終わった。


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