ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

森の鬼退治・貫かれた父の背

2012-01-14 | 森の鬼退治
「“羽柴軍”より、使者にございます」サルからの買収と、
池田「家康殿が…羽柴に寝返った?」情報が錯綜し、混乱を招いていた。
之助「もはや、家康も…敵?」小牧 長久手で両軍に挟まれ、長い膠着状態が続いていた。
池田「…」これではまずい「私が奇襲をかける。二人はその隙に、本陣から撤退だ」
之助「なりません。父上、それは…」自殺行為だった。
池田「酒が飲みたくなった…逝かせろ」人生五十、息子と娘婿の勇姿を拝め、満足だった。
長可「共に、飲みます」
池田「ダメだ。お前には、泉がいる。それに、腹の子も。下がれ」
長可「…。はい」久しく聞いていない素直な返事と…「義父上様…」そう呼ばれて、
池田「父は、」それだけで本望だった「先に逝く」長可の隊を本陣の後ろに下げ、私は家康方に奇襲をかけ…「何ッ!?」鉄砲隊の連射が、紫紺の空に響いた。
之助「森の陣に奇襲ッ!?」
池田「援護に、」向かおうとした時、本陣が家康方「本多…」の別動隊に囲まれ交戦となった。
之助「ち、ち…うえ…」息子が討ち取られ、私も、
池田「長…よ、し…、」背を、槍で貫かれた。
本多「長可殿は…、」
池田「…」息子たちを守れぬ父で「…す、ま…ない」
“共に、飲みます”
あの世で父子水入らず、飲む…か。
池田 信輝、享年49。奇しくも信長と同じ年であった。
一方、長可の陣では彼の鎧は剥ぎ取られ、白装束は無残に切られ、その体に首は無かった。
その首の行方は…、
中村「御方様にお目通りを…」血に染まった布包みを抱え、使者がやって来た。
泉「中村…様?一体…何?」恐る恐る包みを開いた。その中に「ハッ!」長可の首があった。
中村「本多が泉様に、と…」
泉「本多様…」彼の首を人目にさらしたくないと、私に戻してくれた。
長可の額には、鬼の角をへし折られたような鉄砲の傷跡があり、鼻はそげ落とされていた。
中村「池田様は…、」徳川方に手厚く葬られたと聞いた。
泉「家康様と…本多様に、お礼を…あ、ありがとうございます」夫の首を抱き締めて、
千丸「兄上ぇー」弟たちと共に、泣いた。


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